(イメージ:写真AC)

近年、BCP/DR対策としてデータセンターへのニーズが高まりつつあります。今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進などにより、取り扱うデータ量が爆発的に増えることが予測されるため、データセンターの活用はますます進むと考えられます。そのような状況の中、BCP担当者としてもさらなる理解が必要になってきますが、いったいどのようなことに留意すべきなのか、全3回の連載を通してご紹介します。

今回の第1回では「データセンターの基礎知識」として、データセンターの種類や、BCP対策としての二つの問題点について触れていきます。これからお話しする二つの問題点を解消するために、第2回では「BCP担当者も知っておくべきデータセンター選定ポイント」、第3回では、「組織内のギャップを解消するための秘訣」について説明します。

1. データセンターの種類

データセンターとは、サーバーを安全に保管し、運用するために特化された施設のことです。安定してサーバーを稼働させるためには、電力の供給と通信、24時間の稼働、災害発生時やセキュリティー対策が必要となりますが、データセンターはこうした点にも対応が可能となるよう、自家発電機の導入や、災害の少ない立地の選定、堅牢な建物の建設といった対策が取られています。これが、企業が自社内にサーバーを置くのではなく、データセンターを利用するメリットです。

「ハウジング」と「ホスティング」

データセンターには、大きく分けて二つの利用方法があります。

一つ目は、データセンター内のスペースを借り、そこに自社サーバーやネットワーク周辺機器を持ち込んで保守管理してもらう方法「ハウジング」。二つ目は、データセンターが提供しているサーバーを利用する方法「ホスティング」で、レンタルサーバーとも言います。またホスティングは、物理的にサーバーを借りる以外にも、クラウドサービスを用いてサーバーを提供しているデータセンターもあります。

それではこの二つの利用方法について、それぞれ内容を見ていきましょう。

「ハウジング」は、自社サーバーを預けるため、データセンターにあるラックを借ります。借りる単位としては、ラック1本分、1/2、1/8などの数等分のほか、もっと小さい単位のユニット単位で借りることも可能です。ただ、大きさによって利用できる電気の容量が決まっているため、サーバーの大きさや数によって適切なものを選ぶ必要があります。

ハウジングを選ぶメリットとしては、自社内での運用に合わせたカスタマイズが可能となることが挙げられます。一方デメリットとしては、サーバーの稼働監視など一部データセンター側に委託できる部分はあるものの、基本的にはサーバー本体の運用や管理は自社で行う必要があることです。