長坂政務官(中央)は都市圏の広域避難の重要性を述べた

内閣府を中心とした政府の中央防災会議は22日、防災対策実行会議の「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ(WG)」の第4回会合を開催。主に墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の東京都の江東5区における洪水時の広域避難について話し合われた。人口の約8%にあたる長距離移動困難者21万人については屋内安全確保などで5区内にとどまることも想定。5区外へ151万~172万人が避難すると見込む。

江東5区の人口は約251万人。荒川と江戸川の洪水が起こった場合、ほぼ全域が浸水すると想定されている。病院や福祉施設の入院・入所者2万人やその付き添い支援者1万人など、長距離移動が困難な人は21万人。洪水時に基本は5区外退避だが、入院・入所者は施設内での屋内安全確保、このほか長距離移動が困難な人は5区内の公的施設への避難も可能とする方針。多くの病院や福祉施設では3日分の物資の備蓄がされており、もし入院・入所者がとどまって救助の必要がある場合も、3日以内の救助を目指す。

もし21万人の長距離移動困難者が全員5区内にとどまった場合、5区外への立ち退き避難者は151万人、全員が避難する場合は172万人と想定。鉄道の運行停止も見込み、発災の24時間前には避難開始を行う。個人の判断に任せると避難には17時間以上だが、移動手段やルートを理想的に分散できれば3時間程度と推定。5区外での公的避難施設利用を最低限とするため、親戚宅や通勤先といった自主避難先の確保を住民には呼びかける。

出席した長坂康正・内閣府政務官は洪水対策について「過酷な事象を視野に入れ、排水や避難経路で中長期的な対策をたてたい」と述べた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介