2020/07/21
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■事例2
排出していないはずの『指定汚染物質』が検知される
この工場は、1995年に設立された上海でも数少ない老舗日系企業です。現在の総経理は、中国の方が手腕を発揮され、運営されています。
今回の問題は、環境局主導の環境水質検査にて違反が発覚し、処罰を受けた事例です。ただ、今回の処罰は我々としてどうも腑に落ちない点が多くありました。なぜなら、検査結果で不適合とされた排出物質は、この工場では排出されるはずがない物質であったからです。
この工場の環境担当者も納得がいかず、排水配管経路を綿密に洗い出し、検査でサンプルを採取したより上流側で再度自社測定を行ったところ、結果は問題なしとなりました。そこで担当者は、周りの他社の担当者と連絡を取り合い、ヒアリングを行ったところ、近隣の工場も同じように同じ物質が排出され、処罰を受けていることが分かったのです。何か大きな別問題が潜んでいることが考えられます。
この問題をこのまま未解決のまま放ってくと、毎年同じように処罰を受けてしまうことが予測されます。原因究明は最優先事項であると言えるでしょう。
工場の構造に詳しい副総経理をされている日本人スタッフの方からの報告では、この工場の境界線付近には、現在は使用されていない下水の暗渠があるとのこと。そこからの浸透が最終放流口での水質に影響してきているのではないかと言う疑いも提議されています。
排水の汚染は、近隣の土壌汚染にも、地下水の水質汚染にも、少なからず影響を及ぼしてくるために、非常に頭の痛い問題であることは誰もが承知していることです。政府当局も厳しくするのはやむを得ないところです。
■環境政策の真剣度を見誤らず早め早めに手を打つ
それぞれのケースのポイントをまとめてみましょう。
事例1:中国赴任が短すぎると、中国ならではの事情がのみ込めないばかりか、中国政府の環境対策に対する真剣度がどのくらいかの正しい認識ができず、知らぬうちに問題を見落としてしまう可能性が大きくなります。
事例2:生産工場として進出した土地が、過去にどのような土地であったのかなどを詳細に把握しておかないと、流れ弾に当たってしまうかのように、出自の異なる原因による痛手を被ることもあり得ます。早め早めに手を打つことで、そのような課題の有無をあらかじめつかんでおくことが必要となります。
迅速に環境対策を進めたい中国中央政府と、それを現場で担う政府当局者たちに、未熟な部分が存在することは否めません。しかし、だからといって手をこまねいているわけにはいきません。
以上のような事態が存在することを知って、最大限にリスクを回避する方策を練っておくことが、継続性を高めていく最善の方法だと考えます。
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