梅雨明け後は局地的に降る強い雨が多くなる(写真:写真AC)

2020年7月3日以降の「令和2年7月豪雨」は、熊本県を中心に九州や中部地方などに甚大な被害をもたらし、今もなお被災地ではボランティア不足などでなかなか復旧が進んでいない状況が続いています。さらに今年は、平年より長い梅雨となり、日本全国の広い範囲で水害による被害が発生しました。今回は、前回の「河川氾濫」に続いて「内水氾濫」についてみていきます。

1.内水氾濫について

●内水氾濫とは
市街地などに短時間で局地的な大雨が降ると、下水道や排水路が水をさばききれなくなり、溢れ出した雨水が建物や土地、道路などを水浸しにすることがあります。これが内水氾濫です。

近年、日本では大雨や短時間強雨(1時間降水量50ミリ以上)の発生数が増加傾向にあるため、内水氾濫が発生する可能性が高くなっています。今年の7月は、1時間降水量50ミリ以上の雨が2008年以降で最も多く、地球温暖化の影響もあり、今後も大雨や短時間強雨は増えていくとみられます。このため、堤防の整備が比較的進んだ都市部では、内水氾濫が新たな課題となっています。

内水氾濫は、河川氾濫と比較すると以下のような違いがあります。

内水氾濫の河川氾濫との違い
・降雨から浸水被害が発生するまでの時間が短い
・河川から離れた地域でも浸水被害が発生する
・浸水深は浅いので、無理に屋外へ避難するよりも頑丈な建物の2階以上へ移動したほうが安全な場合が多い
・地下空間や周辺に比べて低い場所においては、局所的に浸水の危険度が高くなる

●内水氾濫の危険があるかハザードマップで事前に確認
都市部の地表の多くは舗装されている道路などで覆われ、土が露出している部分が少ないので、雨水が浸透しにくくなっています。そのため、豪雨により短時間で下水道や排水路の許容量を超えてしまい、雨水が溢れ出すことがあります。

短時間の豪雨で浸かりやすい場所なのかは自治体が公開しているハザードマップで事前に調べておくようにしましょう。またハザードマップで色が塗られていない地域でも、地下室やアンダーパス等の低い土地では浸水が生じる可能性があります。

●短時間に降る豪雨に注意!
内水氾濫は、夏の午後によくあるような短時間に降る豪雨で注意が必要です。河川氾濫と比べて短時間で状況が大きく変化するために10分前と状況が大きく変わることがあり、早い判断を求められます。 急な豪雨では、大雨警報・注意報や自治体の避難勧告などが間に合わないこともありますので、早めに自主的に身を守る行動をしましょう。

天気予報の「どしゃ降り」は、1時間あたり20ミリ以上の雨を指します。30ミリ以上の雨で道路が川のようになり、50ミリ以上の雨が降ると都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込み、マンホールから水が噴出する場合もあります。