火山は時として大きな災害を引き起こす(写真:写真AC)

活火山は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」とされています。2003年に火山噴火予知連絡会が活火山と選定した火山は、日本国内に111あります。火山は時として大きな災害を引き起こし、21世紀以降でも火山による災害は確認されています。2014年に発生した御嶽山噴火での、死者・行方不明者は63人と記録されています。

火山活動にともなう被害の原因として、噴石や火砕流などが挙げられます。大きな噴石や火砕流、そして融雪型火山泥流は発生してから避難するまでの猶予時間がほとんどないため、噴火警報や避難計画を活用して事前に避難しておくことが重要です。

今回は火山活動にともなう被害や噴火情報、避難のポイントなどを確認していきます。火山の近くに住んでいない方はあまり身近に感じられないかもしれませんが、ぜひこの機会にご確認ください。

1.火山活動にともなう主な被害

●火山灰

噴火によって噴出した直径2ミリ以下の小さな固形物です。時には数100キロメートル以上も運ばれることがあり、広範囲に降下および堆積します。火山灰は交通機関の乱れ、家屋の倒壊、航空機のエンジントラブルなどさまざまな影響を与えます。

●噴石

火山が噴火すると、大きな噴石が火口から吹き飛ばされることがあります。大きさは直径50センチ以上のものもあり、風の影響をほとんど受けず短時間で落下し建物の屋根を突き破ることもあります。登山者の死傷や建造物の破壊といった被害につながることがあります。

●火砕流

高温の火山灰や岩、空気や水蒸気などが一体となって急速に山体を流下する現象です。火砕流は通過した領域を焼失させたり埋没させたりすることがあり、破壊力が大きく恐ろしい現象です。流下速度は時速100キロメートル以上、温度は数100℃にも達します。

●溶岩流

マグマが火口から噴出して高温の液体のまま地表を流れる現象です。通過域にある建物や道路や農耕地、さらには森林や集落をも焼失、埋没させてしまいます。溶岩流の流下速度は比較的遅く基本的に人の足による避難が可能ですが、流れる速度は溶岩の成分次第で変わるのでなるべく早く避難する必要があります。

●火山泥流

火山堆積物が雨水などによって流れ下る現象で、土石流と類似の現象です。噴石や火山灰が堆積しているところでは、数ミリ程度の雨でも発生しやすくなります。火山泥流は高速で斜面を流れ下り、下流に大きな被害をもたらします。噴火後に雨が予想されるときは、川の近くや谷の出口に近づかないようにする必要があります。

●融雪型火山泥流

積雪時における火山において、噴火にともなって発生した火砕流などの熱によって斜面の雪が融かされ、発生した水が周辺の土砂や岩石を巻き込み流下する現象です。流下速度は時速60キロメートルを超えることもあります。大規模な災害を引き起こしやすい火山現象で、広範囲の建物、道路、農耕地などが破壊され埋没することもあります。

●火山ガス

火山ガスの成分は水蒸気だけでなく、二酸化硫黄や硫化水素といった物質も含まれています。含まれている気体の種類によっては、人体に影響を与えるものもあり、過去には死亡事故も発生しています。