2020/09/30
グローバルスタンダードな企業保険活用入門
テロ・治安リスク保険
テロ・治安リスク保険という言葉は聞き慣れないかもしれません。なぜなら、日本企業でこの保険を契約しているところはごくわずかでしかないからです。
日本国内では巨大災害といえば地震リスクですが、世界レベルで見るとテロ・戦争・内乱・暴動などの治安リスクの方が巨大災害につながるリスクです。日本は極めて安全な国なのでピンとこないかもしれませんが、グローバルでビジネスを展開する日本企業にとってはしっかりと着目しなければなりません。地震と同様、めったに起きないけれど、起きたら大変なことになるタイプのリスクだからです。
日本の地震リスクは一般的な財物保険では補償対象外となっていますが、同様にテロ・治安リスクもほとんどの国の一般の財物保険では補償対象外です。これらのリスクをヘッジするためには、別途テロ・治安リスク保険に加入する必要があります。グローバルな保険マーケットでは一般的な保険であり、多くのグローバル企業が加入している保険です。
しかしながら、日本の保険会社が普通に販売している保険商品にテロ・治安リスク保険はラインアップされていません。日本は安全なので国内リスクとしてはニーズがないことも一因でしょうが、日本の保険会社が再保険の手当てをできていないことが最大の理由と考えられます。
地震保険同様の手法で、海外の再保険マーケットを活用すれば日本企業もテロ・治安リスク保険に加入できます。
東証一部上場企業の54%が地政学リスクすなわち治安リスクを有価証券報告書上で事業などのリスクとして開示しています。リスクとして認識し、開示までしているのに、何の手当てもしていないとなると、経営としては大きな問題です。しかも、保険会社が引き受けたがらないリスクは、企業にとっても抱えておくべきではないリスクと言えるでしょう。
有価証券報告書でリスクとして開示している企業は、海外の再保険マーケットを活用したテロ・治安リスク保険も検討しておくべきです。
本連載執筆担当:ウイリス・タワーズワトソン 関西支店長 兼 グローバルプラクティス ディレクター 大谷和久
グローバルスタンダードな企業保険活用入門の他の記事
- 第10回 新型コロナウイルスにより増大するリスクと保険
- 第9回 再保険の手配が必要な特殊な保険
- 第8回 経営リスクに関する各種保険
- 第7回 グローバル企業にとっての賠償責任保険の留意点
- 第6回 財物保険活用における日本企業の問題点
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/31
-
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
-
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
-
-
-
-
-
-
-
火事・水害の被災設備に復旧という選択肢
災害復旧専門サービスのベルフォアジャパンは昨年、独自営業による顧客開拓に乗り出しました。これまでは共同出資者の東京海上日動火災保険を窓口としてきましたが、体制変更を機に直接の市場アプローチを開始。BCPの実効性を確保する手段として自社のサービスを訴求する考えです。代表取締役社長の加藤道久氏に今後の市場戦略を聞きました。
2026/03/18







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方