第3回:被災企業の教訓
リスク意識を高めるもう一つのアプローチ
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
マルチハザードBCPの策定/気候変動リスク対策・適応策に関するアドバイス・講演・執筆活動に従事。一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会理事。BCP・BCM・レジリエンス・登山に関する著書14冊。国際的な事業継続マネジメントの専門家組織、英国BCI(Business Continuity Institute)の公式WebサイトにマルチハザードBCPの解説記事を寄稿。オンライン媒体や雑誌の連載など多数。趣味は登山と読書。著者のnoteはこちら(https://note.com/b76rmxiicg/)
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■「対岸の火事」から「他山の石」へ
前回の最後に、日ごろから「災害を忘れない」「災害に関心を持ち続ける」ための工夫を一つ紹介した。それはディザスター映画のような大災害の残像を脳裏に焼き付けることではなく、もっと身近な目の前の小さな災害リスクに焦点を当てることであった。リスクが潜んでいるかどうかはっきりしないときは、声に出して「ここにリスクはないか?」と自問自答する習慣をつければよいとも述べた。
さて今回は、「災害を忘れない」ためのもう一つのアプローチについて述べてみたい。それは災害を経験した企業の教訓に目を通すことである。一般に「災害の教訓」をテーマとした情報(ルポ、ドキュメント番組、書籍など)は、災害の悲惨さをともすれば情緒的に訴え、ストレートに視聴者や読者の共感を得ることが目的であるだけに、会社組織よりも個人や家族、地域社会に焦点を当てたものがほとんどだ。ビジネスの世界では、他社の災害の教訓などは対岸の火事的な目で見られることが多いのである。
しかし、これからBCPを策定する、あるいは策定したBCPを今後きっちり管理していくという明確な目標を持っている会社にとっては、被災企業の教訓は自社のBCPの考え方に有形・無形のポジティブな影響を与えるだろう。災害リスクに対する感度を磨いておくと同時に、他社が何を体験しどのような手段で災害を生き延びたか、その手がかりを探っておくことはBCPにかかわる者にとって基本中の基本である。
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