2017/11/08
オフィスの防災対策を見直せ!
東京・渋谷地区は大災害発生時、職場や学校に約3万6000人がとどまり、さらに屋外で約3万人が行き場がなく滞留すると予想されている。本社を置く渋谷地区で駅のみでなく多くの施設を所有・管理する東京急行電鉄。同社は約100カ所の企業や学校のほか行政で組織する「渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会」で中心的な役割も果たしている。
2027年度に全体の街びらきを目指し、同社が中心となる大再開発プロジェクトが渋谷駅を中心に進んでいる。その中でいち早く完成し、ランドマークとなっているのが2012年開業の「渋谷ヒカリエ」。渋谷区と帰宅困難者受け入れ協定を締結。帰宅困難者受け入れのほか、同施設内には渋谷区防災センターもあり、大災害時には区の災害対策本部以外に協議会現地本部も置かれ、「渋谷の心臓部」となる。
渋谷ヒカリエは地下4階・地上34階建て。商業施設やオフィスだけでなく1972席ある劇場「東急シアターオーブ」や約1000人が一堂に会することができるエキシビションホールもある。災害時には劇場やホール、さらに地下・地上を多層レベルで繋ぐ「アーバンコア」と呼ばれる動線スペースなど計約5500m2のスペースで帰宅困難者を受け入れる。
災害用トイレは給排水設備のほか、非常用水槽の水も利用可能。さらに重油による72時間使用可能な非常用発電機も置いている。約200m2の備蓄倉庫を用意。1万3000食分の非常食や寝袋、具合が悪いなど配慮が必要な人向けに簡易寝台と毛布、災害用トイレが使えない場合に備え簡易トイレ等も用意している。また非常発電とつながる災害用トイレが帰宅困難者受入スペース付近を中心に設置されている。ヘルプカードの方や女性向けの区画も必要に応じて作る計画。1階の明治通り沿い入口に情報ステーションを置き電車の運行情報などを提供する。
渋谷駅周辺は再開発の最中で、2019年度に渋谷駅直上の渋谷スクランブルスクエア第1期(東棟)や東急プラザ跡地を含む道玄坂一丁目駅前地区などが開業予定だが、渋谷ヒカリエはこのエリアの大規模ビルという位置づけは今後も変わることはない。
こういう状況もあって渋谷ヒカリエでは渋谷駅周辺帰宅困難者協議会を通して周辺との連携も含め日々備えている。いざ受け入れの際にはヒアリングを行う計画だが、実際に多数の帰宅困難者の対応をするのは困難を伴う。帰宅困難者を受け入れるにあたりマニュアルを作成、年2回の訓練も行っているが、渋谷ヒカリエの運営改善だけではなく、周辺との連携が欠かせない。
東急グループでは渋谷ヒカリエ以外にも渋谷キャスト、セルリアンタワー東急ホテル、渋谷エクセルホテル東急が渋谷区と協定を結んでいるが、渋谷区は東急グループ以外の施設も含めて38施設と協定を結んでいる。渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会は、発災時に渋谷区と各施設が連携し、受け入れ可能な施設に帰宅困難者を避難誘導する仕組みを築き、年に複数回の訓練を実施している。
「東日本大震災以上の被害を想定し、準備は日々進めている。協議会を通じ周辺との連携を進める」と語るのは東急電鉄・渋谷ヒカリエ運営課で施設管理を担当する能登弘子主査。自助・共助の精神のもと、周辺と共にいざという時へ備える。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
オフィスの防災対策を見直せ!の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方