2018/02/16
防災・危機管理ニュース
 
東京都は15日、「東京都商品等安全対策協議会」の今年度第4回会合を開催。子どものベランダからの転落防止のための手すりの安全対策について報告書をまとめた。越山健彦会長(千葉工業大学社会システム科学部金融・経営リスク科学科教授)が都生活文化局の三木暁朗・消費生活部長に報告書を手渡した。報告書には手すりの高さ1200mm以上を検討することや、手すりの位置を工夫すること、エアコン室外機など足がかりになるようなものを設置する際の注意などが盛り込まれた。
子どもが住宅のベランダの手すりを越えたり、手すりの隙間をすり抜けたりしての転落防止を図る。この検討のため、2歳・4歳・6歳の各7人による実証実験を実施。1100mmの高さの手すりに、足がかり部分や手のかかる部分である笠木の位置や太さといった条件を変え、子どもが上までよじ登れるか検証を行った。
 
実験やこれまでの議論から、報告書には手すりの高さについて建築基準法施行令に定められた1100mm以上の確保のほか、さらなる安全性への配慮として1200mm以上も検討すべきことが盛り込まれた。腰壁など足がかりになりそうな部分の上端から手すりまでの高さについては、優良住宅部品の評定機関であるベターリビング(BL)基準の800mm以上とするほか、900mm以上を推奨した。実験において笠木の位置を10cm手前にずらすことで特に4歳児のよじ登り防止に効果があったことから、手すりの位置に工夫を行うよう呼びかけた。手すりの隙間からの子どものすり抜け防止のため、BL基準の110mm以下の順守のほか、90mm以下が安全性向上のため検討すべきとしている。
周辺環境ではエアコンの室外機が子どもの足がかりになる危険性が高いことを指摘。手すりから60cm以上離して設置することや、上から吊るす、戸建てであれば1階に置くといった対策をとるよう提言した。物干しなども上から吊り下げ、手すりから60cm以上離すことを検討すべきとしている。
協議会では有識者のほか東京消防庁、BL、住宅生産団体連合会など業界団体、オブザーバーとして国土交通省、経済産業省、消費者庁も参加した。越山会長は「これ(報告書)が終わりでなく、これからが始まり」と説明。都生活文化局では報告書の内容をホームページに掲載するほか、リーフレットを作成し啓発活動を展開。国や業界団体に安全対策を働きかける。
この日の会合では過去に同協議会で検討した商品の安全対策についてのその後についても報告が行われた。2016年度に検討された子どもに対する歯ブラシの安全対策では、歯みがき中に歯ブラシをくわえたまま転倒しても、ハンドルが曲がり口への負担を軽くする製品の発売、業界団体による注意表記の強化といった成果があった。越山会長は「米国の消費者リスクの視点として、アンリーズナブル(不合理な)リスクというものがある」と述べ、欠陥とまではいかなくとも、子どもや高齢者など弱者が商品を安全に使えるような配慮が求められるという考え方を紹介した。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/15/09.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
- 
            
                
- 
            
                
- 
            
                中澤・木村が斬る!今週のニュース解説 毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。 2025/10/28 
- 
            
                
- 
            
                
- 
            
                
- 
            
                
- 
            
                月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】 リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。 2025/10/24 
- 
            
                
- 
            
                「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献 地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。 2025/10/20 




 
    






 
           
           
           
           
           
           
           
           
           
          
 
             
             
            
 
             
             
             
            ![2022年下半期リスクマネジメント・BCP事例集[永久保存版]](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/160wm/img_8265ba4dd7d348cb1445778f13da5c6a149038.png) 
             
             
             
             
             
            
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方