【釜山時事】米中両国は30日、中国がレアアース(希土類)の輸出規制強化の発動を1年間先送りすると明らかにした。ただ、中国側は撤回まで踏み込まないまま。今後も輸出制限をちらつかせ、貿易交渉を優位に進める戦略が透ける。
 「中国はレアアースの輸出規制という強力な外交カードを決して手放さない」。北京の共産党関係筋はこう語気を強めた。
 中国政府は今月上旬、12月以降に中国産レアアースを含む製品を輸出する場合、原則として政府の許可を得る必要があると説明。中国はレアアースの生産で圧倒的なシェアを持っているため、サプライチェーン(供給網)の混乱を懸念する声が世界に広がった。
 中国商務省は30日、韓国で開かれた米中首脳会談後に公表した談話で、レアアースの輸出規制強化を1年間先送りすると表明。その上で、規制のあり方などについて「具体策を研究する」と強調した。
 日中関係筋は、米中が一時的な妥協で「問題の先送り」を図っているだけだと指摘。米中関係について「(今後も)エスカレーションと妥協が繰り返される」と予想した。 

(ニュース提供元:時事通信社)