2021/05/25
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
読者の皆さまも既にご承知の通り、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、短期間のうちに全世界で在宅勤務へのシフトが行われ、企業のネットワークに対する外部からのアクセスが急増した。このような急激な状況変化は、サイバー攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性につながりかねない。本報告書ではこのような背景を踏まえて、企業のCISOが現状のリスクや今後の課題などをどのように認識しているかを探ろうとするものである。
図1は、今後12カ月の間に自組織が重大なサイバー攻撃を受けるリスクにさらされていると認識しているCISOの割合を国別に表したものである。英国、ドイツ、スウェーデンが僅差で上位に並んでおり、日本はおおむね平均値となっている。
ちなみに業種別でみると、最も高いのは小売業の83%となっている。逆に最も低いのが公的機関で、24%のCISOが重大なサイバー攻撃を受けるリスクは低いと認識しているとのことである。一口に「公的機関」と言っても多種多様な組織が含まれるので、一概には言えない面もあるが、市民の個人情報やプライバシーなどに関する大量の情報を扱っている組織や、社会インフラの維持に関する重要な役割を担っている組織もあり、実際にサイバー攻撃によって社会インフラが機能不全に陥った事例も発生しているので、公的機関におけるリスクの認識はもっと高くあるべきなのではないかと感じる。
また、リスクに関してこのように認識されている一方で、CISOの66%はサイバー攻撃に立ち向かうための準備がいまだに不十分であると回答している。特にオランダ、ドイツ、スウェーデンの3カ国では、「不十分」だと回答したCISOが約80%となっている。このような、サイバー攻撃を受けるリスクが高いと認識していながら準備が不十分だというギャップによって、CISOの懸念がさらに高まっていると考えられる。
ちなみに本報告書では、代表的な8種類の手法およびターゲットの中で、来年最もサイバーセキュリティーの脅威になると認識しているものは何かを尋ねた結果もまとめられているが、これに関しては34〜26%の間でほぼ横並びとなっている。このような状況を踏まえて、本報告書では、対策すべき脅威を絞り込めず、全方位に対して対策レベルを高める必要があることが、前述のようなギャップが生じる原因の根本だと指摘されている。
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方