2021/07/19
オピニオン

東京オリンピック・パラリンピック大会が今週、いよいよ開幕する。無観客での異例の開催となるが、それでも市中では人流の増加により、今以上に新型コロナウイルスの感染が拡大することや、組織を狙ったサイバー攻撃が増加することなどへの懸念も高まる。
リスク対策.comでは、2018年、2019年と、東京オリンピック・パラリンピック大会に向け企業がどのようなリスクを重視しているかなどについてアンケート調査を実施してきたが、これらをもとに、今大会期間中やその前後において、組織が気を付けるべきリスクと対策を挙げてみた。


まずは、2019年時点で、各組織がどのようなリスクを懸念していたか、から振り返ってみたい。2018年、2019年のアンケート調査はニュートン・コンサルティング株式会社と共同でそれぞれ実施した。
2019年調査で組織が特別に対策を講じる必要があると考えていたリスクのトップ10は、「物流遅延(交通渋滞や交通規制)」「従業員の出社遅延」「サイバー攻撃」「首都直下地震」「風水害」「混雑による群衆事故」「感染症」「交通機関のチケットが取りにくくなる」「ネット回線の速度低下や途絶」「テロ」。
新型コロナで無観客になったことから、そのまま現在に当てはめて参考にするには無理があるが、それでもサイバー攻撃などは、逆に発生確率が大きくなっていることが想定される。多くの人が会場ではなく自宅からテレビやインターネットで大会の様子を視聴するため、ネット回線の速度低下や途絶などもリスクは増大していると考えられる。さらに、感染症についてはすでに蔓延期にあるものの、人流の増大で再び、あるいはさらに感染拡大が懸念される。また、猛暑に伴い電力使用量が大幅に伸び、そこに在宅勤務者が家でエアコンなどを使うことを考えると、2019年調査時のトップ10には入らなかった停電のリスクが入る可能性もある。
以下は、これらをもとに、リスク対策.comが独自の視点で注意が必要と思う10のリスクと、特に組織のが注意すべき対策をまとめてみた。
■サイバー攻撃
五輪開催に向け、サイバー攻撃が増加することが懸念されています。個人のPCやスマフォが狙われるケースもありますので、不要なメールなどを開かないように注意が必要です。
【対策】
・従業員に対する注意喚起
・不要なメールは開かない
・知り合いからのメールでも、添付ファイルを開いたり、URLをクリックする際は十分注意
・怪しいサイトへはアクセスしない(特に五輪関連の偽装サイトなど)
・SNSでアカウントの乗っ取りなどに注意(パスワードやメールアドレスは絶対に記入しない)
・組織から許可されていないWiFiや怪しいWiFiスポットに不用意に接続しない
・OSを最新の状態にする
【参考サイト】
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/cyber/index.html
オピニオンの他の記事
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方