大手金融機関向けのサービスを一般企業に展開

有限責任監査法人トーマツ

有限責任監査法人トーマツは、2月からマクロ経済や金融市場におけるリスク情報の配信を行う「マクロリスク情報Webキャスティング」サービスを開始した。日本銀行金融機構局で大手金融機関考査やリスク管理に携わり、現在は同社パートナーでリスク管理戦略センター長の大山剛氏が収集、分析した情報を毎月1回オンラインで動画配信。世界中のリスクのタイプや所在がわかる「リスク・ヒートマップ」や「ストレス関連情報」などの資料を用いながら、大山氏がわかりやすく解説する。価格は1年間の契約で1,000,000円(税別)~。

漠然としたリスクを管理できるリスクへ

同法人が行ったアンケートによると、「取締役会が入手すべき情報として不足しているもの」として「経営戦略に影響を与えるマクロ環境の変化」が2番目に多く挙がった(図1)。

大山氏は「アベノミクスの失敗や、中国経済の減速など、マクロ経済の先行きやリスクに漠然とした不安を抱えている企業の経営陣が多い。『漠然としたリスク』を『管理できるリスク』に転換する必要がある」と強調する。

サービスは、もともと大手金融機関に向けて同社が個別面談などを通じて開催していたものを動画でパッケージ化した。国際通貨基金(IMF)日銀や米国の連邦準備制度(FRB)のほか、イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)など主要中央銀行から発行される情報を収集・分析し、独自の整理法で一覧化。将来のシナリオを作りやすくしている。想定対象は、グローバルに展開する小売業や商社、製造業、不動産業などのほか、地方銀行や信用金庫などの中小規模の金融機関だという。「情報は全て公開されている情報だが、それらを分析し、整理するのは非常に高いスキルが要求される。本サービスが企業のグローバルリスク分析部門におけるアウトソーシングの1つになれればいいと考えている」(大山氏)。