2018/04/27
防災・危機管理ニュース
米国の代表的な第三者安全科学機関であるUL社(本社:米国イリノイ州)は25日、世界約190カ国の安全レベルを数値で可視化し、比較できるようにしたツール「UL Safety Index」(以下、UL安全指数)の最新版を公開したと発表した。2013年から調査を開始し、発表は2回目。今回から、新たに「交通安全」の評価項目を追加した。
トップはオランダとノルウェーで、オーストラリア、スウェーデン、カナダが続いた。日本はアジアでトップだったが、世界ランキングでは19位。UL社の非営利組織 Underwriters Laboratories Inc. ディレクターであるデビッド・ロス氏はUL安全指数について「安全性を数値化し、定量化することで政府や研究機関、民間企業の安全に関する対話や議論を活性化させ、それぞれの国の問題解決を促すことを目標としている」と話す。
UL社は1894年に創立。安全認証機関として米国で120年以上の歴史を持ち、UL規格は米国で国家規格として採用されている。今回公表したUL安全指数はこれまでの同社の経験を通じ、「経済活動」「テクノロジー」「教育」などの国力評価や、「労働者の保護」「消費者保護」「交通安全」などの安全性向上の取り組み評価など9つの評価項目から独自のアルゴリズムで数値化した。
日本は、新評価項目である「交通安全」に関しては世界ランキング7位だったが、「転倒」項目に関しては同160位だった。この結果に対しロス氏は「日本の少子高齢問題が浮き彫りになっている」と指摘する。少子高齢問題は既に欧米でも顕在化しているが「フィンランドやオランダでは、住民のコミュニティベースのアプローチで問題解決を図っている」(ロス氏)。
UL安全指数の今後の取り組みについて、ロス氏は「UL社はこれからも消費者保護に関し、あらゆる側面から調査を実施していく。ぜひ日本企業にも調査に参加してほしい」と呼びかけている。
■UL安全指数
https://ulsafetyindex.org/
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方