ロシアーウクライナ情勢の悪化に比例するかのように増加しているサイバー攻撃。戦争の影響はネットの世界にも及んでいます。リスクマネジメントの観点から、見直すべき点を考えます。

■事例 戦争勃発で考えるべきリスク

2月24日、ロシア軍はウクライナの軍事施設に対する攻撃を始めたと発表し、ロシアによる軍事侵攻が始まりました。3月に入ってもロシアによるウクライナへの軍事侵攻は連日続いていて、各地で激しい戦闘が行われています。

ロシアの「力による現状変更」を決して見過ごすわけにはいかないため、国際社会は協調して侵攻を始めたロシアに圧力をかけています。アメリカをはじめ、英国、EU各国、日本などがロシアに対し経済制裁を発動し、中立の立場にあるスイスでさえ、ロシア制裁に動いています。

経済のグローバル化に伴い、世界は好むと好まざるとにかかわらず、密接につながっています。ロシアとの経済的な関係を完全に遮断すれば、もちろんロシアは困るでしょう。但し、その影響が制裁をかけた方に及んでくるのも避けられません。ロシア、ウクライナ両国は世界の小麦輸出量のおよそ3割を占めていることから、小麦の国際指標価格が乱高下しています。黒海沿岸での港湾業務停止などに伴う輸出停滞が懸念されているのも、その乱高下に拍車をかけていると言われています。小麦はパンやパスタといった主食の原料ですので、今後、食卓に及ぶ影響も小さくないでしょう。

ロシア産の原油や天然ガスなども西側諸国が結束してロシアからの輸入を止めることになった場合には、その分の価格高騰も容易に想像できます。それに伴った電気料金の値上げなども予想されるでしょう。

企業でリスク管理部門に勤務しているAさんは「戦争の勃発により、経済的な影響があることは当然織り込み済みである。それ以外でリスクマネジメントの観点から考えなければならないことは何か?」と思っています。