(2)発災時の避難行動開始時期
避難の目安となる情報には、気象台が発表する大雨注意報・警報、洪水注意報・警報の他に、気象庁と国土交通省若しくは都道府県と共同で発表する「洪水予報」がある。

洪水予報は5段階に分けられ、レベル3の「はん濫警戒情報」が発表された時点で、住民は避難を判断・開始し、レベル4の「はん濫危険情報」が発せられた時点では、避難が完了していることが求められている。一般に、洪水時は水位が急激に上昇する傾向があるため、「はん濫警戒情報(レベル3)」が発表された時点では、避難のための時間が残っているのみであり、製品や設備の高所への移動などの時間は全くない。従って、工場・事務所が発災時に必要な対応を講じるためには、「はん濫注意情報(レベル2)」が発せられた時点で、行動を開始する必要がある。


また、気象庁では、2013年8月末までに「特別警報」の運用を開始する。これまでの「警報」の発表基準をはるかに超える現象に対して発表されるものであり、「特別警報」が発表された場合には、直ちに命を守る行動をとることが求められる。

特別警報の発表前には、これまで通り「注意報」や「警報」が発表される。「注意報」が発表された時点で、避難場所の再確認や、重要データの持ち出しなどの避難行動を開始し、「警報」が発表された段階では、速やかに避難することが必要である。

5.おわりに


地球温暖化により、集中豪雨の頻度が高まることが予想され、水害へのさらなる備えが必要である。水害をはじめとした自然災害への対応は、事前の備えによりリスクを減らすこと、及び早期の情報入手により避難などの行動開始に関して的確な判断を下すことが重要である。また、一度のリスクの洗い出しにより関係者の防災への心構えや意識は大きく変わる。本稿で紹介した事前対応策をもとに、関係者と一体となった対策に着手していただければ幸いである。

〔2013年6月17日発行〕


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転載元:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 リスクマネジメント最前線2013 No.26
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社