法治国家における法の適正な手続き

(イメージ:写真AC)

身柄の拘束は人身の自由、基本的人権の思想とも関連し、現在の法治国家では法の適正な手続き(due process of law)により公権力を縛り、人権を保障していこうとしています。

日本の場合、憲法第31条で「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と明記し、憲法33条及び34条において、不法な逮捕・拘留・拘禁からの自由も定めています。

そして刑事訴訟法等で、刑事手続きについて詳細に規定しています。これらを踏まえると、海外であっても法治国家である以上、渡航者が何らかの法令違反を犯さない限り身柄の拘束の可能性は低く、仮に拘束されたとしても、原則として法に基づいた適正な各種手続きが規定されています。

日本とは異なる法令に留意

(イメージ:写真AC)

前述のとおり、渡航者は海外で法令違反を犯さない限り身柄を拘束されるおそれはありません。しかし、国によって法律が異なるため、渡航者は当該国の法律を事前に把握しておき、特に、日本では適法でも海外では違法となる行動について十分注意しておく必要があります。

例えば、次のような行為は、当該国で法律違反になるとされています。

• ガムの持込み
• 屋外での飲酒
• 電子タバコの持ち込み
• 子供一人の留守番
• 公共施設の写真撮影

また、2001年に発生した米国における同時多発テロ事件以降、欧米諸国では捜査機関の権限・出入国管理・情報収集の強化等、テロ防止に資する法令が制定されています。

例えば、米国では「外国諜報監視法」や「連邦移民国籍法」によって、一定の条件の下、外国人に対する無令状での権限行使が認められています1

加えて、在中国日本国大使館の注意喚起には「中国は、2014 年に『反スパイ法』(反間諜法)を制定し、2023 年 4 月には『スパイ活動』への対策を強化する改訂を行う(2023年7 月 1 日施行)等、『国家安全』に危害を及ぼす行為への対策を強化しており、注意する必要があります。」と明示されています 2