2013/11/05
防災・危機管理ニュース
リスク対策.com、レスキューナウ危機管理研究所が緊急アンケート
リスク対策.comとレスキューナウ危機管理研究所はこのほど、10月16日明け方に伊豆諸島北部を通過し伊豆大島を中心に大きな被害をもたらした台風26号について、企業など組織の従業員に対する対応をアンケート調査した。それによると、70%もの企業が15日の早期退社や、16日の出社抑制など事前対策を実施し、そのほとんどが15日の午後に従業員に通知をしていたことがわかった。また、従業員1000人以上の大きな会社ほど、災害対応を行う専門部署や担当者を設置しており、専門部署を設置している会社ほど台風などの災害対応のための計画が整備されている傾向が顕著に現れた。アンケートは10月21日~10月31日までの10日間、リスク対策.comの読者に対して実施。383人から回答を得た。
アンケート結果によると、台風26号の接近に際し、15日(火)の早期退社や16日(水)の出社抑制などの事前対応を実施した組織は270社で全回答者の70%を占めた。また事前対応を通知した時刻は15日の午後が198社(70%)と最も多く、次いで15日の午前が66社(23%)、16日の早朝が9社(3%)となった。
※ その他回答は、複数回通知、社員の帰宅時にそれぞれ通知など
通知の手段はメールが184社(52%)で、次いでその他115社(32%)、電話38社(11%)など。安否確認システムを活用した企業は14社(4%)にとどまった。その他については、イントラネットなどの社内掲示板、口頭での通知、館内放送、グループウェアなど。
また、通知を行う際に参考とした情報の入手先としては、テレビやラジオ、インターネットでの気象情報が多かった一方、交通機関の情報などを複合的に判断したとの回答も目立った。
■災害対応を行う専門部署がある組織ほどマニュアルが整備されている
アンケートではまた、どの程度の組織が災害対応を行う専門部署や担当者を配置しているかについても質問。その結果、専門部署や担当者を配置していると回答した組織は230社(60%)で、特に1000人以上の大企業ほど高い割合で配置していることが明らかになった。
また、台風などの災害対応のための計画(規定、マニュアル、ガイド等)を整備している組織は261社(68%)で、専門部署や担当者を決めている組織ほど、こうした計画を策定している傾向が顕著に現れた。
レスキューナウ危機管理研究所代表取締役の市川啓一氏は、「今回のアンケート対象者はリスク対策.comの読者であることから、そもそも危機管理に対して意識の高い人が対象となっているため、企業全般の平均よりは対応を行っている率が高くなっているとは思われるが、それを割り引いても、年々、災害に対して事前に対応しようとする姿勢が強まっていることをあらためて読み取れる。災害に備えてあらかじめ休業にする、自宅待機にすることを受け入れる風土が広がりつつある。社会全体で事前対策を実施することにより、そもそも被災しない、混乱を避けようとする減災への取り組みが進んでいるといえる」と話している。
※回答者内訳防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方