27日のベトナム・ニュース紙(電子版)によると、世界保健機関(WHO)はベトナムで大気汚染が憂慮すべきレベルで悪化しており、人々は意識や行動を変える必要があると警告した。WHOによれば、世界では大気汚染で年700万人が死亡しており、ベトナムでは新型コロナウイルスによる死者を大幅に上回る7万人超が呼吸器疾患で毎年犠牲になっている。WHOは、公衆衛生の危機的状況と捉え、大気汚染にコロナ並みの対応で取り組む必要があると指摘している。
 大気汚染は廃棄物の焼却のほか、工業地帯や輸送活動などから排出される粒子状の物質によって起きる。微小粒子状物質「PM2.5」や粒子状物質「PM10」は鼻から呼吸器に入り、機能不全を起こす。「見えない殺し屋」と呼ばれており、心疾患や肺がんの原因となっている。
 保健環境研究開発センター(CHERAD)の担当者によれば、ベトナムで感染性の疾患は増加しており、多くの場合は大気や水質の汚染のほか、気候変動が引き起こしているという。国内で死亡率が高い10大疾病のうち、六つが呼吸器系の病気だ。
 とりわけ経済的なハブ(拠点)であるハノイとホーチミン市は急速な都市化に伴い、多くの環境問題に直面している。環境当局によると、ハノイのPM2.5の濃度は国標準のおよそ2倍超。車両や建設現場などによる大気汚染に見舞われている。(時事)

(ニュース提供元:時事通信社)