2024/09/05
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】投開票まで残り2カ月となった11月の米大統領選で、エネルギー政策が大きな争点として浮上している。共和党のトランプ前大統領が石油など化石燃料の生産拡大を掲げて攻勢を掛ける一方、民主党のハリス副大統領はクリーンエネルギーの利用拡大を重視。両者の主張は真っ向から対立している。
「エネルギーの独立を諦め、『緑の新たな詐欺』に何千億ドルも投じている」。トランプ氏は8月末、激戦州の一つ、東部ペンシルベニア州で開いた選挙集会で、ハリス氏の気候変動対策をこき下ろした。その上で、自身が大統領に返り咲けば、就任初日に「石油をどんどん掘れ」と呼び掛けると宣言した。
同州は、地下に「マーセラス・シェール」と呼ばれる広大なシェール層を抱え、多くの開発会社が拠点を構える全米2位の天然ガス生産地。トランプ氏の招きで登壇した男性作業員が「(この選挙は)エネルギーを巡る戦争だ」と気勢を上げると、会場は歓声に包まれた。
トランプ氏は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱すると主張。石油や天然ガス増産により、エネルギー価格を引き下げ、産業を活性化させる考えだ。
一方、ハリス氏は気候変動対策を推進し「クリーンエネルギー経済の成長と繁栄」を目指す。バイデン政権が進めた水素利用の研究開発、太陽光発電など再生可能エネルギー拡大を継続する構えだ。シェールオイル・ガス開発で用いられ、環境負荷が高いフラッキング(水圧破砕法)を容認し、石油や天然ガス業界の有権者に配慮しつつも、クリーンエネルギー関連産業の振興による雇用創出効果を訴える。
ペンシルベニア州は選挙結果を決定付けるとみられる重要州の一つ。米メディアによると、同州でのハリス、トランプ両氏の支持率はほぼ拮抗(きっこう)しており、両陣営は連日、選挙集会やバスツアーなどで州内を駆け回っている。選挙戦の行方が、世界のエネルギー事情にも大きな影響を及ぼすのは確実だ。
〔写真説明〕選挙集会で演説するトランプ前米大統領=8月30日、米東部ペンシルベニア州ジョンズタウン(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方