2025/08/24
トレンド
気象予測の最先端 PART2 ウェザーニューズ

突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000回発生、8月中旬にピークを迎える。民間気象会社のウェザーニューズ(千葉市、石橋知博社長)が先月発表した中期予想だ。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測。気温や風、水蒸気量などの気象データのほか、ユーザーからの天気報告やライブカメラの天気映像をAI 解析して発生場所・時間を予測している。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞いた。
突発的・局地的に激しい雨や落雷をもたらす「ゲリラ雷雨」は、今年7月~9月の3カ月間に、全国で7万8000回発生する。ウェザーニューズによる中期予想だ。過去5年平均と比べほぼ同程度、発生のピークは8月中旬になるという。

ゲリラ雷雨は地上付近の気温が上昇して上空の寒気との温度差が拡大し、そこへ湿った空気が流れ込むなどして大気の状態が不安定になることで起きる現象。短時間のうちに積乱雲が急発達し、ごく狭い場所に大雨を降らせる。突発的・局地的な現象がゆえに予測が難しい。
同社によると、今季は太平洋高気圧とチベット高気圧の勢力が強いうえ、日本列島を覆う期間が長い。一方、地上の気温が高くなることで大気の状態が不安定となり、積乱雲が発達しやすくなる。特に8月中旬にはそれぞれの高気圧の勢力が弱まるため、寒気の影響が増加。かつ、暖かく湿った空気が流れ込むため、ゲリラ雷雨の発生がピークを迎えるとしている。
写真・動画やライブカメラ映像を解析
同社予報センターでは2008年から、ゲリラ雷雨のリアルタイム予測を行っている。今年も7月~9月、数十人の専任チームを編成。全国のゲリラ雷雨を観測し、天気アプリ「ウェザーニュース」を通じて配信する。30分前までにプッシュ通知を送る「ゲリラ雷雨アラーム」は「昨年度の実績で56万人がユーザー登録している」(同社広報担当)という。
「ウェザーニュース」は、天気分布を1キロメッシュに落とし込んだ高解像度の予報が特色。気象庁のアメダスを含め、全国約1万3000地点の観測網から取得する気象データがそれを可能にした。気温や風、水蒸気量などの豊富な観測データや複数の数値モデルを解析し、ゲリラ雷雨の発生リスクを予測。「ゲリラ雷雨レーダー」で1時間ごとに表示する。

加えてものをいうのが、ユーザーから寄せられる天気報告「ウェザーリポート」と、昨年から設置を開始したライブカメラ「ソラカメ」の映像だ。
ユーザーからの「ウェザーリポート」は1日約20万通、うち2~3万通に空や雲の写真・動画がついている。ライブカメラ「ソラカメ」はすでに全国2500カ所に置かれ、各所から1分ごとに天気の映像が届く。観測データとともにこれらの画像を複合的に解析し、ゲリラ雷雨の発生箇所と時間を30分前を目安に予測、該当する1キロ四方エリアに「ゲリラ雷雨アラーム」を送る仕組みだ。
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