能登半島地震の際に石川県輪島市で大規模火災が起きたことを踏まえ、総務省消防庁は2026年度、電気火災を未然に防ぐ「感震ブレーカー」の購入を国費で支援する方針を固めた。東京都品川区や神戸市など、延焼の危険性が高い木造密集市街地を抱える全国15市区を対象に、住民の購入費の一部を国が負担する考え。同年度予算概算要求に、金額を示さない事項要求として盛り込む。
 感震ブレーカーは、地震の揺れを感知して自動で電気を遮断する装置。ばねや重りを使うタイプ、コンセントに差すタイプなどがある。住民が避難する際にブレーカーを落とす必要がないため、火災防止に有効とされる。
 輪島市では、通電中の電気配線が地震で傷ついてショートし、発火して密集する古い木造家屋に燃え広がった可能性が指摘されている。阪神大震災などでも同様の通電火災が発生した。
 消防庁は感震ブレーカーの設置を呼び掛けてきたが、木造住宅が密集して避難が困難な市街地のある15市区については、特に普及を急ぎたい考え。このため、住民向けに設置や取り付け費用を補助する事業を設けているか、今後設けた場合に、事業費の一部を国が負担する方向で検討している。具体的な制度設計は、年末の予算編成過程で詰める。
 近年、住民や自治会向けに設置を支援する自治体もあるが、財政的な制約もあり一部にとどまっている。消防庁や内閣府が24年度に行った調査では、何らかの支援事業を設けている自治体は都道府県で21.3%、市区町村で11.5%だった。
 

 ◇感震ブレーカー購入補助を想定している15市区
 埼玉県川口市▽千葉県浦安市▽東京都品川区▽同北区▽横浜市▽大津市▽京都市▽大阪市▽大阪府豊中市▽同門真市▽同寝屋川市▽同東大阪市▽神戸市▽高知市▽長崎市。 
〔写真説明〕感震ブレーカーの一例(リンテック21提供)

(ニュース提供元:時事通信社)