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「カモ型」BCPから「タラ型」BCPへの転換を考えるシリーズの第3回です。中堅メーカーの総務部で危機管理を担当するAさんはBCPについて悩んでいます。理由はBCPが危機ごとに乱立し、現場からはお荷物扱いされているからです。Aさんは、従来と異なるBCPを求めています。このシリーズでは、BCPを「転換」させるアプローチを紹介しています。

ステップ③:まずは前提を確認

前回、ステップ①として「脅威と社会的影響」を、ステップ②では「自社業務への悪影響」を整理しました。これで「何が起きるか」ではなく「起きた時にどうするか」という「タラ型」BCPを策定する土台が整いました。

ステップ③では、業務への悪影響に対して「どう対応するか」を具体的に検討していきます。ここの目的は、業務を止めずに継続するための「実行可能な対応策」を考えることです。

まず、前提として悪影響が発生した場合の対応方針を整理します。私たちは、方針を①休止、②縮退(部分継続)、③継続の3つに分類しました。さらに、それぞれの方針を細分化したのが下記の表になります。

画像を拡大 方針の分類表(提供:五十嵐雅祥氏)

これを参考に、自社への悪影響に対する方針を選択します。業務継続を考えるときには上記の13パターンから、右端の番号でNo.12の「現状通りに継続」を方針として採用したくなるでしょう。しかしながら、固執しすぎると対策の視野が狭くなり、かかるコストも膨大になります。業務の重要度や影響の深刻度、対応可能なリソースによって方針を選択すべきでしょう。