2025/02/23
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】米金融市場にトランプ大統領の関税政策が影を落とし始めた。本格的に導入されていけば、サプライチェーン(供給網)の混乱や、インフレに伴う消費の落ち込みが避けられないとの懸念を示す企業が相次いでおり、当初マーケットを覆っていた楽観論は後退している。
ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は21日までの1週間に1118ドル(2.5%)下落。昨年10月下旬以来、約4カ月ぶりの下げ幅となった。ハイテク株中心のナスダック総合指数も2.5%安と大きく下げた。
急落の引き金となったのが小売り世界最大手の米ウォルマート。同社が20日発表した業績見通しが投資家の期待を下回り、消費の先行きに不安が広がった。同社幹部が、カナダとメキシコに対する関税が発動された場合、「影響を免れることはできない」と発言したことも一層の警戒感につながった。
個人消費は米国内総生産(GDP)の7割を占めるため、ウォルマートの業績見通しは景気を占うバロメーターとされる。市場では「関税の影響を楽観する見方が大勢だったが、慎重姿勢が台頭した」(日系証券)もよう。
同社の他にも、関税を理由に今後の業績を低めに見積もる事例が見られる。メキシコからアボカドやトマトを輸入している米外食大手幹部は、関税が発動されれば「原価に継続的な影響が出る」と説明した。
相場をけん引してきた人工知能(AI)ブームにも関税が冷や水を浴びせる恐れがある。トランプ氏は21日、グーグルやメタ(旧フェイスブック)といった米IT大手にデジタル税を課している欧州諸国などに対し、関税を含む対抗措置を検討するよう関係機関に指示した。
デジタル税が撤回されれば米IT大手にプラスとなりそうだが、この日の株式市場は売りで反応。米欧の対立激化などで「世界的にサプライチェーンが広がるIT大手の業績を圧迫する可能性がある」(米メディア)として、投資家の視線は悪影響の方に向かった。
〔写真説明〕米ニューヨーク証券取引所の外にあるウォール街の標識(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方