トランプ政権の台湾政策
政治的、軍事的な不安定要素を念頭に置きながらビジネス戦略を
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
2025/02/28
地政学リスクを読み解く
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
帝国データバンクが昨年11月に公表した企業統計によると、2024年7月時点で台湾に進出する日本企業は2988社で、2022年の3124社に比べて4.4%あまり減少した。この減少には、台湾を巡る政治的緊張が影響していると考えられる。台湾と中国の関係は長年にわたる緊張状態にあり、2022年8月には当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問し、その後中国は台湾本島周辺で大規模な軍事演習を実施した。この軍事演習では、中国から複数の弾道ミサイルが発射され、その一部が日本の排他的経済水域に落下したことがあり、これを契機に台湾有事に対する懸念が急速に高まった。この出来事を受けて、台湾に拠点を構えている日本企業の間でリスク回避の動きが強まったことは間違いない。
そして、台湾に進出する日本企業は今日、トランプ政権の台湾政策の行方を注視している。トランプ政権の発足から1カ月となるが、トランプ大統領は得意のトランプ関税で諸外国に混乱や動揺を与え、ウクライナ戦争の終結に照準を合わせており、まだ具体的な台湾政策は明らかになっていない。しかし、これまでの言動や政策思考から、以下のようになることが考えられる。
まず、トランプ大統領は昨年の選挙戦を通じて台湾に対して不満を表明しており「台湾は防衛費をもっと増額すべきだ」や「台湾は米国から半導体産業を奪った」といった言動が見られた。NATO加盟国に対しても防衛費増額を求め、「増額しなければ、米国はロシアによる軍事的脅威から守らない」と発言し、同盟国の間で反発や動揺が広がった。これを踏まえると、台湾は正式な米国の同盟国ではないため、トランプ政権が台湾を軽視し、その結果として中国からの軍事的威嚇が強まるといったシナリオも排除はできない。
地政学リスクを読み解くの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/07/05
「情シス任せ」「コンサル任せ」では終わる
社会機能の維持に欠かせない業種でサイバーインシデントが相次いでいます。事業停止の影響は一企業のビジネスの域を超えサプライチェーン全体に波及。いまやセキュリティは経営の重要課題です。企業を取り巻くサイバーリスクと求められる対策について、日立ソリューションズの扇健一氏と辻󠄀敦司氏に聞きました。
2026/07/03
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/30
W杯に水を差したDAZN契約プラン表示が原因で大炎上
世界最大のスポーツイベントであるサッカーのW杯が6月12日に開幕。日本は1勝1分けで決勝トーナメント進出を大きく引き寄せている。その裏でW杯の視聴契約を巡ってSNSで大炎上していたのが、スポーツコンテンツの配信会社であるDAZNだ。W杯の全試合を視聴できる年間契約プラン表記に問題があり、13日にお詫びを発表した。しかしその対応も反感を買い、炎上は継続。最終的には年間プラン自体を取り下げた。DAZNの何が問題だったのか、消費者問題に詳しい住田 浩史弁護士に聞いた。
2026/06/23
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方