「バランス外交」が問われる高市政権下の日韓関係の行方
歴史認識を巡る言動に左右される
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
2025/10/21
地政学リスクを読み解く
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
高市早苗氏が日本の首相に就任し、新たな政権が発足した。今日、日韓関係は「シャトル外交」の復活に見られるように、良好な軌道にあると言える。しかし、その関係の行方は、新首相の外交姿勢、特に歴史認識を巡る言動に大きく左右される。北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威、そして力を背景に現状変更を試みる中国の軍事的台頭を考えれば、東アジアの安全保障環境はかつてなく厳しく、日韓両国が連携を深めることは不可避の要請とも言える。高市政権には、この良好な日韓関係を維持し、さらに強化していく責任がある。
現在の日韓関係の安定は、両国首脳が安全保障や経済協力といった「未来志向」の課題に焦点を当て、歴史問題を外交の主軸から切り離すという共通認識の上に成り立っている。特に対北朝鮮政策において、日米韓の安全保障協力は不可欠であり、情報共有や共同訓練の継続は地域の安定に直結する。また、サプライチェーンの強靭化や経済安全保障の観点からも、隣国である日韓の連携強化は互いの国益に資する。
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