高市政権下の日中関係の行方
懸念されるシナリオ
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
2025/10/08
地政学リスクを読み解く
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
高市早苗氏が日本の首相に就任すれば、停滞しつつも辛うじて協調を保ってきた日中関係に、新たな緊張をもたらす可能性がある。高市氏のこれまでの政治信条や言動は、中国が最も警戒する歴史問題と台湾問題において強硬な姿勢を打ち出しており、日中関係は今後、厳しく難しい局面に直面するシナリオが考えられる。日本の国益と地域の安定を維持するためには、高市政権は「戦略的互恵関係」の枠組みを堅持しつつも、日本の国益に関わる核心的利益においては毅然とした「原則外交」を展開するという、極めて高度なバランス感覚が問われることになる。
現在の日中関係は、経済的な相互依存を維持する一方で、尖閣諸島周辺での中国公船による領海侵入の常態化や、台湾海峡を巡る緊張の高まりなど、安全保障上の課題が山積している。日中両国は形式的には「戦略的互恵関係」を掲げ、首脳レベルでの対話チャネルを維持しようと努力してきたが、中国の軍事費増大と海洋進出の加速は、日本の安全保障環境を直接的に脅かしている。高市氏が首相に就任することに、中国側は直ちに強い警戒感を示しており、中国の国営メディアなどは、高市氏の台湾関係者との面会や靖国神社参拝を問題視する報道を行っている。中国から見れば、高市氏は「日本の右派政治家の代表格」として認識されており、高市氏の行動が外交関係の悪化に直結するという強い懸念がある。
高市政権の対中外交において、関係悪化のリスクを高める要因は、主に三つの問題に集約される。第一に、靖国神社参拝を巡る歴史問題である。高市氏は、国会議員として終戦の日に靖国神社への参拝を続けており、首相就任後も参拝の可能性を否定していない。中国政府にとって、靖国神社参拝は「日本の軍国主義の美化」として見なされ、長年にわたり政治的な対日批判の最大の争点となってきた。もし高市氏が参拝を強行すれば、中国側は当然ながら猛烈に反発し、首脳会談は停滞あるいは途絶する事態に発展する可能性がある。
地政学リスクを読み解くの他の記事
おすすめ記事
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/18
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方