2025/04/03
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】ミャンマー中部を震源とする地震は4日で発生から1週間となる。クーデターで実権を握る国軍は3日時点で死者3085人、負傷者4715人と発表したが、国軍が活動を制限しているため救助や支援が遅れている地域があり、被害の全容はいまだ不明。復興の見通しも立たない中で、路上などで避難生活を送る被災者は疲弊している。
3月28日の地震で、ミャンマーでは第2の都市マンダレーや首都ネピドーなどで甚大な被害が出た。地元当局に加え海外からの援助隊も被災地入りしているが、ザガイン地域などは国軍と抵抗勢力の戦闘の影響で支援活動が滞っている。
1日には、北東部シャン州で救援物資を運んでいた中国赤十字の車列に国軍が発砲した。けが人はおらず、国軍は「事前の通告がなく、停止命令に応じなかったため」と釈明した。
国軍は2日、地震への対応を優先するとして22日までの停戦を表明。少数民族武装勢力や民主派も戦闘の一時停止を発表したが、実効性は不透明だ。
国軍トップのミンアウンフライン総司令官は3日、インドなども参加する地域枠組み「BIMSTEC」の首脳会議出席でタイを訪問。災害対応を主導する姿勢を国際的に示し、軍事政権の正統性をアピールする狙いがあるとみられる。
一方、被災地では資材や人手が不足する中、倒壊した建物の多くはそのままになっており、復興に向けた動きはまだ見えない。マンダレーで2日、避難先の路上で時事通信の通信員の取材に応じた女性(79)は「家族は塗装関係で働いていたが、地震で仕事を失い収入がない。どうすればいいのか」と嘆いた。
タイで建築中のビルが崩落した現場でも3日、捜索が続いた。15人が死亡し、81人が行方不明となっているが、チャチャート・バンコク都知事は「がれきの中で人の声が聞こえた。絶望はしていない」と強調した。
〔写真説明〕地震で被災し、屋外で避難生活を送る女性=2日、ミャンマー中部マンダレー
〔写真説明〕3日、地震により倒壊したミャンマー中部マンダレーの建物(AFP時事)
〔写真説明〕2日、タイ・バンコクのビル崩落現場で捜索を行う救助隊員(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)



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