2025/04/10
定例セミナーダイジェスト
南海トラフ地震のメカニズムと予測を知る
第2回リスクアドバイザー情報交換会 3月21日
東京大学地震研究所教授
加藤尚之氏
「巨大地震警戒」は半割れのケースを想定
第2回リスクアドバイザー情報交換会は3月21日、東京・市ヶ谷で「南海トラフ地震の対応を考える」をテーマに開催。南海トラフ地震臨時情報対応計画の見直しについてワークショップを行ったほか、特別講演として東京大学地震研究所教授の加藤尚之氏が南海トラフ地震のメカニズムと予測の意味を解説した。
加藤氏は「地震はプレートの運動」という学説を紹介。地球表面を構成する複数のプレート(固い岩盤)が別々の方向に動いているため境目でズレが生じて起きるプレート境界地震、海側から押されている陸側のプレートに歪みが生じて起きるプレート内地震のメカニズムを解説し「理論として確立されているが、細かい部分はわかっていないところもある」と話した。
日本列島周辺では太平洋プレートとフィリピン海プレートが陸側のプレートに沈み込んでいるが、これら二つの沈み込みによる地震活動には違いがあると解説。「太平洋プレートのほうは普段から地震活動が活発。これに対しフィリピン海プレートは地震活動が比較的少なく、駿河湾から四国にかけてはプレートの固着がしっかりしているためなかなか壊れない特徴がある」と述べた。
地震の予測については、例えば30 年以内の発生確率のような長期予測と、南海トラフ地震臨時情報のような短い時間スケールでの短期予測があると説明。また緊急地震速報は「地震動」の即時予測で、現在は地下の断層運動を「地震」、地面の揺れを「地震動」と、分けてとらえることが多いと解説した。ほか、いつどこでどのくらいの規模の地震が起きるという地震予知は「実用化されていない」とした。
長期予測はさまざまな計算モデルがあるとし、例えば過去の歴史記録や活断層、津波堆積物などから地震の発生間隔の平均を調べるものや、プレート境界にかかる力の時間変化を調べるものなどを紹介。「どういうモデルを使うか、あるいはどういうデータを扱うかで評価が変わる」としたうえで「ただし、いま固着している陸側のプレートとフィリピン海プレートが、いずれ開放されて南海トラフ巨大地震が起きることは確実」と語った。
短期予測では、南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」の意味について「想定震源域内のプレート境界においてM7以上の地震が起きた場合というのは、力のかかり方が変わることで周囲の地震確率が高まるということ」と説明。また、同じくM8以上が起きた場合の「巨大地震警戒」については「東側が壊れたあと西側が壊れた昭和東南海地震、南海地震のケースを想定している」と述べた。
「リスクアドバイザー」についてはこちらをご参照ください。
- keyword
- 南海トラフ地震
- 南海トラフ地震臨時情報
- 能登半島地震
- 防災
- BCP
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/04/28
-
-
-
サプライチェーン対策「行っていない」が49.7%~BCP策定状況は頭打ち、実効性に課題~
内閣府は、令和7年度における「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」についての結果を発表した。2007年度から隔年で実施しているもので前回の令和5年度時点での調査以来となる。それによると、近年災害時などで課題になっているサプライチェーンの対策について、「サプライチェーン強靭化への取組を行っているか」との設問に対し、「行っていない」が49.7%と最も高く、次いで「行っている」が25.9%、「現在検討中」が20.7%となった。
2026/04/26
-
スマホ通知が号令、災害の初動対応訓練を開発
半導体製造装置大手の株式会社ディスコ(東京都大田区)は、平時のコミュニケーションツールを使ったさまざまな危機事案に対応できる初動対応訓練の仕組みを開発し、実践を続けている。メンバーが、危機を発生させる運営チームと対応チームに分かれ、業務中に突発的に危機事案を模擬的に発生させるとともに、通知を受け取ったチームは、即座に、訓練を開始する。リアリティーを追求した結果、たどり着いた手法だ。
2026/04/20
-
-
-
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方