2025/04/10
定例セミナーダイジェスト
BCPの実効性を高める5つのポイント
-能登半島地震の16社の分析結果を解説
リスク対策PRO会員セミナー 3月28日
経済産業省中部経済産業局総務課災害対策専門官
伊野恵理氏

被災企業から復旧のカギと備えるべき対策を学ぶ
リスク対策PRO会員セミナーは3月28日、東京・麹町の朝日ビル会議室で開催。経済産業省中部経済産業局総務課災害対策専門官の伊野恵理氏が「BCPの実効性を高める5つのポイント-能登半島地震の16 社の分析結果を解説」と題して講演し、その後、グループディスカッションを行った。
経済産業省中部経済産業局は、能登半島地震で被害を受けた製造業など16社に被災から復旧までのプロセスや組織文化についてインタビューを実施。結果を事例集として取りまとめた。伊野氏はそれらの企業の復旧・事業継続の様相と、対応のカギになったポイントを解説。「BCPの運用の効果は、常日頃からの取り組み、企業文化によるところが大きい」と話した。
また、各社からの学びをもとに、今後発生する大規模災害に向けて備えるべき事前対策を5つのステップに整理。第一ステップは従業員の安全確保で「もし死者や深刻な負傷者が発生したら復旧どころではなくなってしまう。安全確保は何が何でもやらなければいけない。安否確認の手段も確保してほしい」と呼びかけた。
第二ステップは、従業員とのコミュニケーションによる良好な関係の構築。「日頃からできるだけ情報を共有し、自律的な行動ができる人材の育成に努めることが大切」とした。第三ステップはステークホルダーとの連携で、取引先や住民、工事業者らに「『なくてはならない大事な会社』と思ってもらえるかがカギ」といい「平時からよいお付き合いができるかにかかっている」と述べた。
第四ステップは複数要員の確保で、災害時は従業員の避難生活のことも考えて日頃からの多能工化やスキルの一覧化などに取り組むことを提案。第五ステップは、自社の限界と復旧・事業継続のボトルネックを知ることと指摘した。能登半島地震では土木・建築業者の不足や2次避難による従業員の離職などがネックとなったが「自社の状況を確認しておくことで事前対策に優先順位をつけられる」と話した。
PRO会員(ライトは除く)のアーカイブ視聴はこちら。2025年5月31日まで。
- keyword
- 南海トラフ地震
- 南海トラフ地震臨時情報
- 能登半島地震
- 防災
- BCP
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方