2025/05/12
防災・危機管理ニュース
【シドニー時事】オーストラリア南東部のビクトリア州当局は3~4月に、山火事で生存が難しくなった野生のコアラ約1100匹をヘリコプターから射殺した。不要な苦痛を和らげるための「安楽死」だと主張している。これに対し、動物保護団体などは「残酷な手法」と批判し、適切だったかどうか調査を求めている。
同州のブジビム国立公園では3月上旬に山火事が起き、約2200ヘクタールが焼失。被災域の多くのコアラがやけどを負ったり、餌のユーカリ不足で飢えたりした。州当局は「生存の可能性は低く、苦痛を和らげる安楽死が必要だ」と判断し、4月下旬まで射殺を続けた。ヘリの使用は「山が険しく、徒歩移動が難しかったため」と説明している。
一方、複数の動物保護団体は「残忍な方法で、決定過程が不透明」として第三者委員会による調査を要求。これに名を連ねた団体「動物のための人道世界」は「射殺の規模や正当性に深刻な懸念がある」と指摘する。また、動物保護活動家のクレア・スミス氏は民放9ニュースで「ヘリからコアラの状態を正確に見極められるのか」と疑問を呈し、「二度と繰り返してはならない」と訴えた。
同州当局によると、州内のコアラ生息数は約46万匹と推定されている。同州では絶滅危惧種に指定されていないが、この数十年間に森林伐採が進み、生育環境が厳しくなったと専門家らは指摘している。
〔写真説明〕オーストラリア東部ブリスベン中心部近くで木に登るコアラの親子=2024年12月(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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