2025/05/16
防災・危機管理ニュース
航空自衛隊の練習機「T4」が愛知県犬山市に墜落した事故で、事故機には原因究明に欠かせないフライトデータレコーダー(FDR)が搭載されていなかったことが明らかになった。飛行状況解析に必要な客観的情報は限られることになる。T4導入から40年近くになるが、防衛省によると、保有する約200機の3割に当たる約60機はFDRが未搭載だった。
防衛予算は13年連続で増額され9兆円に迫るが、自衛隊機の墜落事故は相次いでいる。反撃能力(敵基地攻撃能力)に使われるミサイルなどの「正面装備」の予算が優先され、安全対策が後手に回っていないかの検証も必要だ。
中谷元防衛相は15日の参院外交防衛委員会で、FDR搭載には複雑な配線工事が必要なため定期修理の機会を利用しT4に装備してきたなどと説明。「今回の事故を踏まえてより速やかなFDR搭載に努めたい」などと述べた。
防衛省によると、T4のFDRは高度や速度、エンジン回転数、異常時の警報などが飛行データとして記録される。
T4は北海道から沖縄県に至る空自基地に配備されており、パイロット養成だけでなく技量維持、日常的な基地間の移動業務のためにも使われる。正確な事故状況が判明しなければ、安全対策に教訓を十分生かすことも難しくなる。
空自トップの内倉浩昭航空幕僚長は記者会見で、「計画的に限られた予算に優先順位をつけながら改修を行い、装備品を導入している。結果として今回の機体にはFDRは装備されていなかった」と述べた。任務の難易度や機体の寿命などから装備化の優先度が決まるという。
防衛省によると、ステルス戦闘機F35やF2戦闘機にはFDRが搭載されているが、近代化に適さないアナログ信号を使う旧世代のF15戦闘機約60機は未搭載という。
〔写真説明〕航空自衛隊の練習機T4(空自ホームページより)
(ニュース提供元:時事通信社)

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