2025/06/02
防災・危機管理ニュース
【ニューデリー時事】インドの自動車業界が、中国の輸出規制強化に伴うレアアース(希土類)磁石の供給不足に見舞われている。業界団体は6月初めにも生産停止に追い込まれる恐れがあるとして、インド政府に対し、中国に規制緩和を働き掛けるよう求めている。
希土類磁石は特に電気自動車(EV)のモーターやセンサーなどに使われる。中国が世界生産の大半を占めており、調達を同国に頼るサプライチェーン(供給網)のリスクが浮き彫りとなった。
インドは新車販売台数で中国、米国に次ぐ世界3位の市場。2022年に日本を上回った。
中国政府は今年4月に輸出規制を強化。トランプ米政権の対中追加関税への報復策とされている。
ロイター通信やインドメディアによると、スズキの現地子会社マルチ・スズキなどが加盟するインド自動車工業会(SIAM)は、規制強化を受けて中国の港にとどめ置かれている希土類磁石の出荷許可取得に向け、インド政府に支援を要請した。また、SIAMを中心とする代表団が今週訪中し、事態解決のため当局者と話し合う予定。
SIAMのラジェシュ・メノン事務局長は時事通信に「インド政府との協議が進行中なのでコメントできない」と述べた。
自動二輪車大手バジャジ・オートの幹部も5月29日、7月までに規制が緩和されなければ自社のEV生産が深刻な影響を受ける恐れがあると警告している。
〔写真説明〕インドの自動車工場の生産ライン=2024年3月27日、南部チェンナイ郊外(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方