集配業務を担う全国の郵便局で点呼が不適切に行われていた問題で、国土交通省は5日、日本郵便に対し、一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針を通知した。取り消されれば、同社のトラックなど約2500台が5年間動かせなくなる。大手運送事業者への許可取り消しは異例。
 同社からの聴聞を18日に関東運輸局(横浜市)で行った上で、正式に処分する。約3万2000台ある同社の軽自動車は届け出制で、今回の取り消し処分の対象外だが、国交省は郵便局ごとの車両停止処分も検討している。「ゆうパック」など同社の物流事業への影響は避けられず、外部委託などを検討するとみられる。
 日本郵便は4月、集配業務を行う全国3188局のうち、75%で不適切な点呼が行われていたと公表。国交省は同月25日から、貨物自動車運送事業法に基づく特別監査を実施し、各地の郵便局を立ち入り検査していた。
 点呼は、乗務前後の運転手に酒気帯びの有無などを確認するもので、国交省は、事故が起きると影響の大きいトラックやワンボックスカーを使っている郵便局で優先的に監査した。
 その結果、関東運輸局管内だけで、取り消し基準を超える多数の点呼未実施や、点呼記録の改ざん行為が確認されたといい、「輸送の安全の根幹を揺るがせた」(同省幹部)と判断した。
 日本郵便は「極めて深刻な事態だと受け止めている。事業への影響を精査し、今後の具体的な対応を速やかに検討する」とのコメントを出した。 
〔写真説明〕国土交通省(写真上)と日本郵便の看板

(ニュース提供元:時事通信社)