2025/06/05
防災・危機管理ニュース
集配業務を担う全国の郵便局で点呼が不適切に行われていた問題で、国土交通省は5日、日本郵便に対し、一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針を通知した。取り消されれば、同社のトラックなど約2500台が5年間動かせなくなる。大手運送事業者への許可取り消しは異例。
同社からの聴聞を18日に関東運輸局(横浜市)で行った上で、正式に処分する。約3万2000台ある同社の軽自動車は届け出制で、今回の取り消し処分の対象外だが、国交省は郵便局ごとの車両停止処分も検討している。「ゆうパック」など同社の物流事業への影響は避けられず、外部委託などを検討するとみられる。
日本郵便は4月、集配業務を行う全国3188局のうち、75%で不適切な点呼が行われていたと公表。国交省は同月25日から、貨物自動車運送事業法に基づく特別監査を実施し、各地の郵便局を立ち入り検査していた。
点呼は、乗務前後の運転手に酒気帯びの有無などを確認するもので、国交省は、事故が起きると影響の大きいトラックやワンボックスカーを使っている郵便局で優先的に監査した。
その結果、関東運輸局管内だけで、取り消し基準を超える多数の点呼未実施や、点呼記録の改ざん行為が確認されたといい、「輸送の安全の根幹を揺るがせた」(同省幹部)と判断した。
日本郵便は「極めて深刻な事態だと受け止めている。事業への影響を精査し、今後の具体的な対応を速やかに検討する」とのコメントを出した。
〔写真説明〕国土交通省(写真上)と日本郵便の看板
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方