2015/03/09
防災・危機管理ニュース
~ 「建設業」の業績回復が顕著 ~
帝国データバンクは、岩手、宮城、福島3県沿岸部の「被害甚大地域」(津波被害が特に大きかった地域と原発事故による警戒区域・計画的避難区域)に本社を置いていた5004社を対象に、震災から約4年経過時点での活動状況について追跡調査を実施。多くの企業が休廃業に追い込まれる中で、事業を継続し、震災前の売上水準を大きく上回る企業も出てきていることがわかった(本調査の発表は2011年7月、2012年3月、2013年3月に続き4回目)。
今回の調査で「事業継続」を確認できた企業は3622社で全体の72.4%。2013年2月の前回調査時からこの2年間で大きな変化は見られなかった。他方、「休廃業」している企業は1382社(27.6%)で、前回調査時(1327社)から55社増加。4社に1社が実質的な活動停止に追い込まれたままとなっている。
2015年2月の活動状況を業種別に見ると、事業継続の比率が最も高いのが運輸・通信業で 85.2%(208 社)。次いで卸売業の 80.2%と、この2業種が全体平均(72.4%)を大きく上回る比率となった。一方、小売業は 63.6%と、業種別で唯一60%台にとどまった。
震災前の2009年度と比べて2013年度の売上高が増収となった企業は約半数(51.6%)を占め、横ばい(5.5%)と合わせて、約6割の企業が震災前の売上水準を回復した。業種別では建設業が突出(71.6%)。損益状況も建設業の黒字企業比率が84.0%と、震災前の2009年度から21.9ポイント増加するなど、利益を確保した企業が大きく増えている。
岩手、宮城、福島の各県別に見ると、事業継続を確認できた企業は、岩手県では1013社(82.8%)、宮城県では2158社(83.3%)と8割を超えた。一方、福島県では事業継続を確認できた企業は451社(37.4%)にとどまり、3県の中ではもっとも低い比率になった。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方