2025/07/01
防災・危機管理ニュース
政府は1日、中央防災会議を開き、南海トラフ地震の防災対策を推進するための改定基本計画を決定した。3月に公表した新たな被害想定で、最大で約29万8000人と見込んだ死者数を今後10年間でおおむね8割減少させる目標を盛り込んだ。また会議では、対策を重点的に実施する「推進地域」に16市町村を追加指定し、茨城から沖縄までの太平洋側を中心に30都府県723市町村とする答申が示された。これを受け、石破茂首相が追加指定した。
2014年に策定した基本計画の全面改定は初めて。建築物の全壊焼失棟数に関しても、想定の最大約235万棟からおおむね5割減らす目標を掲げた。これまでの計画でも、想定死者数を8割、全壊棟数を5割減らすことが目標となっていた。
改定された計画では、具体的な取り組みを定めた。建物の耐震化をさらに進め、推進地域で耐震性が不十分な住宅を35年度までにおおむね解消。また、避難行動を住民に促すため、「津波災害警戒区域」が指定されている推進地域の全市町村が、最大クラスの津波に対応したハザードマップの作成・公表と避難訓練を30年度までに行えるよう支援する。
災害関連死の防止に向けては、トイレやベッドなどの災害用物資や資機材の備蓄を推進し、避難所環境を改善。災害発生時の緊急輸送体制を確保するため、市町村と物流事業者団体との協定締結を促す。
推進地域は、震度6弱以上の揺れか3メートル以上の津波が想定される市町村を基本に、都府県からの要望も踏まえ、首相が指定する。新たな被害想定で地形データなどの更新があったことを受けて、追加された。
〔写真説明〕首相官邸で開かれた中央防災会議=1日午後、東京・永田町
(ニュース提供元:時事通信社)

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