石破茂首相は8日、トランプ米大統領が日本からの輸入品に8月から25%の相互関税を課すと表明したことを受け、一連の関税措置見直しに向けた協議の継続を関係閣僚に指示した。従来は相互関税の上乗せ分が適用される今月9日が節目とされていたが、約3週間延びた格好だ。政府は新たな期限を見据えて米国との交渉に全力を挙げる方針だが、短期間で局面を打開できるか不透明だ。
 政府は8日、関税の総合対策本部を首相官邸で開催した。首相は関税措置について「誠に遺憾だ」と批判した。一方で日米間が合意に至っていない理由を「安易な妥協を避け、守るべきものは守るべく厳しい協議を続けてきたからだ」と強調。米側からは「対応次第で内容を見直し得る」と協議継続の提案があったことも明かした。
 米側は原則として8月1日を次の交渉期限と設定しており、首相は交渉を担う赤沢亮正経済再生担当相らに「国益を守りつつ、日米双方の利益となるような合意の可能性を精力的に探る」よう指示した。
 赤沢氏は8日午後、新たな関税率が示されてから初めてラトニック商務長官と電話で約40分間協議。同日夜にはベセント財務長官とも約30分間、トランプ氏の書簡が届いたことを踏まえて電話で会談し、今後も日米交渉を精力的に継続していくことで一致した。
 今後の交渉では、日本の主要輸出品である自動車に対する追加関税の扱いが焦点となる。日本は見直しを重ねて求めてきたが、貿易赤字の削減を目指す米国側は一貫して慎重な姿勢だ。
 日本側は引き続き、米側が不満を示す非関税措置の是正や米国からの輸入拡大などを提案して理解を得たい考え。赤沢氏は8日の閣議後記者会見で、日本側の提案に関し「必要なものはもうテーブルに乗っている」と説明。現時点で局面打開への新たな提案は準備していないことも示唆した。 
〔写真説明〕記者会見で、トランプ米政権の関税引き上げ表明について質問に答える赤沢亮正経済再生担当相=8日午後、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)