2015/04/02
防災・危機管理ニュース
~ほぼ全企業がBCP策定による経営改善を実感~
ニュートン・コンサルティング株式会社は、中小企業庁の「平成26年度中小企業事業継続計画(BCP)に関する調査」(以下「当事業」)を受託し、3月31日、当事業の成果を発表する場としての特設サイトを開設した。同日、中小企業庁ホームページでも調査報告書が公表された。
中小企業庁では、自然災害等による我が国経済への深刻な影響を避けるため、中小企業・小規模事業者を対象に事業継続計画(BCP)の普及促進に努めてきた。しかし、BCPの策定率は1割程度で(平成24年度中小企業庁調べ)、BCP効果が十分に認知され、普及が円滑に進んでいるとは言い難い状況にあった。このため、全国の中小企業を対象にBCPの有効性および経営への貢献度についてアンケート調査とヒアリング調査を実施。その報告書を公表するほか、中小企業庁BCP策定ガイドラインの利用手引書なども紹介した。
【調査概要】
BCP策定済みの中小企業の経営者もしくはBCP担当事務局を対象にWebアンケート調査を実施(回答数173社)。そのうち50社に対して追加でヒアリング調査を実施した。
【調査内容】
BCP策定によって、どのような経営効果を感じているかを聞いた。
■集計結果
回答企業のうち、ほぼ全ての企業(167社)がBCP策定により何らかの経営効果を実感していることが分かった。8割以上の企業(146社)がBCPの重要な目的の一つである「災害対応力の向上」を感じている(効果を感じていない企業の多くは策定間もない企業)。一方で、同程度の割合の企業(153社)が、平時からの経営改善効果を感じていることが分かった。内訳は下表のとおりとなった(複数回答可)。
・人材育成・雇用改善83社
・環境整備・業務改善106社
・売上高・取引先増20社
・資金繰り改善55社
・取引先の信頼向上106社
・災害対応力の向上146社
特設サイトURL:http://www.newton-consulting.co.jp/smea/
中小企業庁報告書ページ:http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2015fy/001085.pdf
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方