2018/10/01
事例から学ぶ

施設周辺住民とも協力
水を約1300万人の都民がいる首都に供給する東京都水道局。2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に、テロ対策を進めていく中で情報の公開を絞っているという。同局の取り組みを取材した。
「これまでは『開かれた水道』だった。今は180度方針を転換している」と語るのは都水道局総務部水道危機管理専門課長の保永政幸氏。これまでは水道事業については料金の明瞭性確保などの観点もあり、情報を比較的オープンにしてきた。しかし2020年の東京五輪を控え、有識者のアドバイスも受けて180度方針転換。浄水場など施設見学は子どもの社会見学のほか、水道関係者に限定。パンフレットには構内図や施設の配置がわかるものは掲載しないという。
都水道局は2008年にできた「テロ対策東京パートナーシップ」にも参加。警視庁のアドバイスも受け、安全対策を進めてきたが、「有識者の意見も参考にし、情報公開について大きく方針転換したのは2016年度から」と保永氏は振り返る。
2017年には新たな取り組みも開始した。同年10月19日に東村山市の東村山浄水場でテロ対処訓練を実施。化学物質の入った袋を事務所玄関付近で投げるという毒物テロの想定で実施した。2016年度から、浄水場のほか都水道局全体でも年1回訓練を実施。水源である奥多摩町の小河内ダムでも訓練の実績がある。

また、東村山浄水場では2017年の訓練に合わせ「東京都水道局テロ対策パートナーシップ」と題した制度を創設。周辺の自治会と協定を結び、近隣住民が浄水場周囲の見守りに協力する。保永氏は「不審車両や不審者が現れるなどの状況の変化は、周辺住民が一番よく気づくと期待している」と評価。水道施設と近隣住民とのテロ対策協定は国内初という。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方