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7月30日に発生したカムチャツカ半島付近M8.8の巨大地震と津波警報発令を受け、緊急企画として津波対応の訓練シナリオを考えました。

【旬なニュース】

ロシア・カムチャツカ半島付近でM8.8の巨大地震が発生し、太平洋沿岸の広い地域に津波警報が発令されました。

・太平洋沿岸の複数自治体で避難指示発令

・推定約200万人が避難対象

・JR東日本・JR東海などで運転見合わせ

・成田空港・羽田空港で一部便に影響

・港湾施設の一時閉鎖。
 

※1952年カムチャツカ地震(M9.0)は日本時間で11月4日午前1時58分に発生。津波は約7〜10時間後に北海道から三陸沿岸へ到達し、最大1.2mを観測。揺れがなくても津波が来る「遠地津波」として被害が発生しました。

※1960年チリ地震(M9.5)では地震発生から約23時間後に日本に津波が到達し、最大8mの津波で三陸地方に甚大な被害をもたらしました。今回の地震も遠地地震の特徴です。 「時間的余裕」と「段階的悪化」への企業対応が問われています。

 

このような遠地巨大地震が発生した際、企業の皆さんはどのような対応を取られているでしょうか。

今回のシナリオ:遠地地震×津波警報×事業復旧判断

【前提条件】
・時刻:平日の業務時間(午前8時30分~午後6時)
・場所:オフィス・工場・施設等(津波直接被害なし、従業員規模は問わず)
・地震状況:環太平洋遠地でM9.0、津波24時間後到達予想、段階的に警報レベル上昇

・社内状況:
 通常の業務スケジュール(会議・製造・営業活動)が進行中
 沿岸部・内陸部を問わず、取引先工場・物流拠点・職員家族への影響が懸念
 海外顧客とのオンライン会議・重要商談が予定されている
 24時間という時間的余裕への対応判断が必要

【シナリオ】
ある平日の午前8時30分ごろ。総務部の担当者が緊急地震速報アプリで「環太平洋遠地でM9.0の巨大地震、津波注意報発令、日本到達まで約24時間」の通知を受信しました。午前11時30分に津波警報に切り替わり、午後2時30分には「明日朝の津波到達がほぼ確実、沿岸部は避難準備を」との発表がされました。刻一刻と現実の危機に変化していく中で、会社では通常業務を継続すべきか、段階的に対応レベルを上げるべきか、それとも即座に最大警戒に移行すべきか、さらに津波被害後の事業復旧をどう進めるかの判断が求められています。

【開始時刻(8:30)】環太平洋遠地でM9.0巨大地震発生、津波注意報発令。

【3時間後(11:30)】津波注意報→津波警報に切り替え。

【6時間後(14:30)】津波警報が強化され「明朝8時頃に津波到達確実、沿岸部は避難準備を」との発表。

【9時間後(17:30)】沿岸部自治体で避難指示発令開始。取引先工場から「明朝は操業停止」の連絡。明日の業務継続可否、職員の出勤判断などの検討が急務となる。

【翌朝(8:30・24時間後)】津波が日本沿岸に到達開始。港湾・空港の機能停止、物流網の麻痺が始まる。沿岸部の取引先工場で浸水被害、一部職員も出勤困難となり、事業復旧の判断が迫られる。

 

【追加で発生する課題】

・時間的余裕による油断リスク:「24時間もあるから大丈夫」が準備不足を招く懸念
・段階的悪化への対応遅れ:注意報→警報→避難指示への変化に対応が後手に回る
・沿岸部取引先の長期停止リスク:重要部品・材料の供給停止で生産計画に大幅な影響
・職員の心理的動揺の長期化:フェイク情報(連鎖地震)への不安で数か月の集中力低下
・海外顧客の信頼性懸念:日本全体への地震リスク懸念で契約継続への不安表明
・復旧優先順位の設定困難:限られた資源で何から復旧するか、安全と事業継続のバランス