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数日前から進路が分かっているにもかかわらず、なぜか被害が繰り返される台風。今回は威力を増した「超巨大台風」を題材に、空振りを恐れず命を守る判断基準を考えます。もし1959年の伊勢湾台風級の超巨大台風が現代の海水温で勢力を保ったまま日本を直撃したら。数日前から分かっていても、多くの命と事業が危険にさらされることが懸念されます。

【旬なニュース】

日本気象協会は2025年9月から10月の台風接近数が平年並みか多くなると予測。今年は日本近海で台風が発生しやすく、発生から接近までの期間が短くなる傾向にあるとしています。専門家は「台風活動が少ない年ほど海水温が高く維持され、急激にスーパー台風に発達するリスクがある」と警告しています。

 

今回のシナリオ:
72時間前から始まる命を守る判断

【前提条件】
□場所:日本の主要都市部(オフィス・工場・物流拠点を含む)
□従業員:300名(女性120名、男性180名、内勤・現場・営業を含む)
□時刻:週末を挟んで月曜出勤を控えた金曜日午前
□社内状況:通常業務を継続中
□台風情報
・ 中心気圧 890〜900hPa、最大風速 70m/s
・ 風速15m/s以上の半径 800km超 → 超大型台風
・ このまま進めば列島全体が強風域に入り、逃げ場がない状況
・ 内陸でも大雨・氾濫・停電・交通麻痺が同時多発する可能性
 

【シナリオ】
金曜日の朝、気象庁は超大型で猛烈な台風28号が月曜朝に本州を直撃すると発表しました。まさに伊勢湾台風級の勢力です。予報では日本列島を縦断し、内陸部でも暴風域から12時間以上抜け出せない見込みです。社内では「内陸だから大丈夫」「計画運休を待ってから判断すればいい」という声がある一方、防災担当者は「今回は違う。内陸部でも鉄塔倒壊による長期停電、河川氾濫が同時に起こる可能性がある」と警告しています。72時間後の月曜朝に向けて、会社は段階的な判断を迫られています。
 

【タイムライン】

 72時間前(金曜午前)
台風の進路が確定。中心気圧は 895hPa、暴風域半径は 300km を超える予測。
気象庁が「過去に例のない規模」と会見で発表。

 48時間前(土曜午前)
強風域の半径が 800km を超え、日本列島全体が影響下に入る可能性が示される。
大手物流会社が「翌日以降の荷受け停止」を発表。

 24時間前(日曜午前)
上陸はほぼ確実。予測降雨量は 500mm超。
JR各社が計画運休を正式に発表し、住民には避難指示が出始める。

 12時間前(日曜夜)
既に強風域に入り、最大瞬間風速 50m/s が観測される。
新幹線・高速道路は全面運休・通行止めが決定。

 

【追加で発生する課題】
・週末上陸に備え、従業員から「早退したい」「在宅に切り替えたい」という声が出始める。

・ 出荷や顧客対応など重要業務を「誰を・どこまで」継続するか、停止基準が曖昧。

・在宅勤務に切り替えても自宅の安全は保証されず、守り方の判断が難しい。

・月曜の出社が必要な担当者をどう安全に確保するか、具体的な備えが欠けている。


質問1:72時間前(金曜午前)に判断すること

台風は「超大型・超強力」のまま日本列島を直撃する進路が確定しました。この時点で、業務を継続しつつ、従業員からは「早めに帰宅したい」という声も出始めています。

あなたの会社では、どの対応を取りますか?(当てはまるものを選び、その理由や判断基準を記入してださい)

1. 何もせず、通常通り業務を継続する

理由:_____________________________

判断基準:___________________________

2. 希望者の早退を認めつつ、重要業務は継続する

理由:_____________________________

判断基準:___________________________

3. 対策本部を設置し、この時点でリスク対応を本格化させる

理由:_____________________________

判断基準:___________________________

※ヒント:
・「空振りを恐れて判断を遅らせる」と、従業員の安全が脅かされるかもしれません。

・ 「今まで大丈夫だった」という経験則への過信は、超巨大台風では通用しない可能性があります

 

質問2:24時間前(日曜午前)に判断すること

台風は勢力をほとんど落とさず接近し、中心気圧は890hPa、最大瞬間風速は70m/sの予測。

列島縦断が確実で、内陸部でも総雨量500mm超、暴風域から長時間抜け出せない見込みです。あなたの会社には、出張やオフィス出社の可否を判断できる基準がありますか?

(金曜・土曜・日曜の休日を含めて点検してください。Yes/Noで答え、Noの場合は「いつまでに」「何を決めるか」を記入してください)

(1) 金曜日

通常業務を継続しながら、週末に備えて「誰を残し、誰を帰すか」を判断する基準があるか?

□Yes □No:________________________________________________

(2) 土曜日

休日出勤や出張予定者に対し、移動や勤務を禁止する明確な基準があるか?

□Yes □No:_________________________________________________

(3) 日曜日

翌日の出社可否を、社員に周知するための判断基準と伝達ルールがあるか?

□Yes □No:________________________________________________

 

質問3:月曜朝(台風上陸直前)に判断すること

鉄道は全面運休、高速道路は通行止め、暴風域はすでに広範囲を覆い、社員の通勤手段はほぼ途絶しています。しかし、重要業務を担当する社員の中には「何とかして出社したい」」「現場を守らなければ」という声も出ています。あなたの会社には、この最終局面で 出社・在宅勤務・社内待機をどう決めるか の基準がありますか?(Yes/Noで答え、Noの場合は「いつまでに」「何を決めるか」を記入してください)

(1) 出社禁止の基準

生命の危険がある状況で、明確に「出社禁止」を打ち出せるか?
※ただし社会インフラ維持に従事する社員には、特別な移動・宿泊の安全確保策を会社が準備できるか?

□Yes □No:_________________________________________________

(2) 在宅勤務の基準

在宅勤務を指示しても、停電・断水・避難指示で作業継続が困難な場合の代替基準があるか?

□Yes □No:_________________________________________________

(3) 社内待機の基準

すでに出社している社員や来訪者が帰宅できない場合に、社内待機へ切り替える明確な基準(安全な場所・備蓄・通信手段の確保)があるか?

□Yes □No:_________________________________________________

(4) 重要業務担当者の基準

事業継続に不可欠な担当者や、インフラ業務に従事する社員が「現場に残りたい/残らざるを得ない」と申し出た場合、「命を優先して退避」か「代替手段に切り替え」かを判断する基準 があるか?

□Yes □No:_________________________________________________