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『つけられている気がする』―従業員からこの相談を受けた時、あなたには判断基準がありますか。数日後には待ち伏せ、個人情報の把握、そして不審者の出現に至る――。これは都内や地方都市でも実際に起きている現実です。

【旬なニュース】

2025年9月、世田谷区で40歳女性が刺殺される事件が発生しました。被害女性は1週間前に警察に相談していました。

また神戸市では、女性が面識のない男にオートロックをすり抜けて侵入され、命を奪われる事件も起きています。


このような痛ましい事件の犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表します。失われた命は二度と戻りません。だからこそ、同じ悲劇を繰り返さないために、企業も「従業員をどう守るか」を考える必要があります。今回の訓練では、単なる演習にとどまらず、御社独自の「脅威対応判断基準」を実際に作り上げていただきます。

今回のシナリオ:
従業員への脅威情報 × 判断基準づくり × 組織防衛

【前提条件】
場所:都市部のオフィスビル(オートロック付き)
□従業員:150名(女性60名、男性90名)
□時刻:平日の業務時間中・社内状況:
・重要な顧客対応・商談が進行中
・新製品・サービス関連の重要業務が稼働中
・主力業務・基幹業務が通常運転中
・来訪中の顧客・取引先、外出先から戻る職員も施設内に滞在

【シナリオ】
ある都市部のオフィスビル(従業員150名、女性60名・男性90名)で、従業員への脅威が段階的にエスカレートしていきます。
最初は「つけられている気がする」という小さな相談から始まりましたが、やがて待ち伏せ、個人情報の把握、脅迫文書、そして不審者の出現に至ります。
その間、警察に相談しても「実害なしでは動けない」とされ、組織は自ら判断せざるを得ない状況に立たされます。
もしあなたがこの企業の責任者だったら、従業員と組織をどう守りますか?

【タイムライン】
Day1(月曜)
女性社員Aが「帰宅途中、誰かに見られている気がする」と相談。接触なし、相手は不明。

Day3(水曜)
女性社員Bが「駅からの帰り道で、同じ人物に待ち伏せされた」と報告。業務時間帯での発生、複数の相談が出始める。

Day5(金曜)
社員Aが通勤中に、男性からフルネームで呼ばれた。個人情報が把握され、本人は恐怖で震える。

Day8(翌月曜)
社員Aが警察に相談するも「実害なしでは動けない」と説明される。事態は継続するが社内では様子見の空気。

Day10(水曜)
会社宛に「会えないなら他の方法を考える」との脅迫文書が届く。行動予告を含む内容に、不安が広がる。

Day12(金曜17:30)
女性社員Cが「エレベーターホールに不審者」と緊急連絡。退社時間帯で多数社員が居合わせ、切迫した状況。

【追加で発生する課題】
・警察が動けない期間の社内判断の迷い
・被害が「実害なし」と判断され、社内で様子見が広がるリスク
・不審者出現が退社時間帯に重なり、多数社員・顧客を巻き込む可能性
・女性従業員だけでなく、他の従業員全体の心理的不安や職場への信頼低下
・家族・取引先からの問い合わせや報道対応の混乱