2025/08/11
能登半島地震を踏まえたBCPの改善
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
同社は、建材事業のほか、マテリアル事業、商業施設事業、国際事業など国内外で幅広い分野に展開。国内生産拠点としては富山県に12工場、石川県に1工場を有し、地域経済を支える重要な存在となっている。
能登半島地震では、複数の工場で、設備や製品、材料などが転倒・落下した。石川工場では金型が多数落下し、自動搬送システムやラックが損傷した。表面処理に利用する薬品がプールからあふれ出し、中和処理を行う事態も発生した。奈呉工場では、地盤沈下や液状化現象が著しく、工業用水の配管や重油タンクのバルブが損傷するといった被害も顕在化した。
これまで呉羽山断層地震などに備えてBCPを策定していたものの「どこまで徹底すべきか、最低限どこまでやればいいのか迷いながら進めてきました。他社の事例なども参考にしながらマニュアルは整備していましたが、大規模災害に対して具体的に一人ひとりが対応できるものだったかと問われれば疑問が残るし、実際に災害が発生したら右往左往したというのが実態です」と取締役常務執行役員の吉田経晃氏は振り返る。
目標復旧時間についての具体的な想定もなかった。今回の震災では従業員が一丸となった復旧活動に加え、協力会社や取引先の支援があり、1月21日には被災した全工場での稼働再開を実現したが、本格復旧までには日数を要した。今回の地震で得た最大の教訓は、「復旧に時間がかかると取引先からの信頼を失いかねないという危機感」だったと吉田氏は胸の底を明かす。
こうした教訓から、現在では、能登半島地震と同規模の地震が起きても概ね1カ月で復旧できる初動体制や支援体制の構築を目安として掲げている。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/18
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方