九州北部は11日も、日本海側に停滞する前線の影響で未明から朝にかけて猛烈な雨が降った。気象庁は午前0時20分に熊本県玉名市と長洲町に大雨特別警報を発表し、朝になって八代市と宇城市、氷川町、上天草市、天草市を順次追加。その後雨の勢いが弱まったのを受け、午後3時45分にこれら7市町すべて、警報に切り替えた。
 熊本県によると、同県甲佐町では同日早朝、車が土砂崩れに巻き込まれ、男性1人が午後、心肺停止状態で発見された。同県八代市でも用水路に沈んだ車の中から心肺停止状態の女性1人が見つかった。熊本、福岡両県では川に流されて計5人が行方不明になったとみられる。
 気象庁の立原秀一予報課長は11日午後の記者会見で、「東シナ海から前線や前線上の低気圧に向かい、非常に暖かく湿った空気が流れ込み続けたのが大雨の要因」と説明。前線が予想より南下しなかったため、熊本県で10日夜から断続的に線状降水帯が発生し、記録的短時間大雨情報が相次いで出された。
 玉名市は11日午前8時10分までの12時間雨量が404.5ミリ、八代市は午前10時50分までの同雨量が385.5ミリとなり、いずれも観測史上最多記録を更新した。
 前線は12日にかけて日本海側に停滞し、前線上を低気圧が東へ移動するため、広い範囲で大雨が予想される。立原課長は「熊本県では今後、少しの雨でも災害の危険が高まる」と話した。 
〔写真説明〕床上まで浸水した家屋=11日午後、熊本県玉名市天水町
〔写真説明〕水浸しになった店舗の床を清掃する作業員=11日午前、熊本市
〔写真説明〕大雨で水位が上昇した白川=11日午前、熊本市

(ニュース提供元:時事通信社)