【北京時事】南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)付近で先月、フィリピン公船を追跡していた中国船同士が衝突した事故を巡り、中国側の船員が少なくとも2人死亡していたことが分かった。ブルームバーグ通信が18日、比政府高官の話として報じた。
 スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるが、中国が実効支配している。事故が起きたのは8月11日。同礁の沖合で中国海警局船と中国海軍艦艇が衝突し、海警局船の船首が大破した。
 中国当局は死傷者について公表していない。ただ事故後、中国側はスカボロー礁での威圧的行動を強めており、9月上旬には同礁を国の「自然保護区」に指定し「法執行を強化する」と発表した。16日には、同礁周辺で海警局船が比公船に放水銃を使用し、比側の乗員1人が負傷した。
 アニョ比国家安全保障顧問はメディアに、衝突事故で「大きな恥をかいた」中国側は、強硬姿勢を取らざるを得ない状態だと指摘した。18日の記者会見で事故について問われた中国外務省の林剣副報道局長は「比側は中国の主権を侵害し、船員の安全を脅かした」と述べたが、死傷者については言及を避けた。 

(ニュース提供元:時事通信社)