2025/09/26
防災・危機管理ニュース
政府は26日の自民党会合に、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入法に基づく「被害防止のための基本方針」のたたき台を示した。通信情報の利用は必要最小限にとどめるとし、関係者に法令順守を求めた。官民連携の強化も盛り込んだ。年内の策定に向けて議論を加速させる。
能動的サイバー防御では、国が平時からインターネット空間を監視する。収集した通信情報からメール本文や通話など「意思疎通の本質的内容」を除き、ネット上の住所に当たるIPアドレスや攻撃コマンドといった「機械的情報」を選別して分析。重大な攻撃の兆候があれば、警察や自衛隊が攻撃元のサーバーに侵入し、無害化措置を講じる。
たたき台は通信情報の利用について「法が適切に順守されることで、その利用が必要最小限となることが確保される」と規定。業務に携わる全ての職員に法令を厳格に順守するよう求めた。
5月に成立した導入法に「通信の秘密」の尊重が明記された点を踏まえ、「憲法の保障する国民の権利と自由を不当に制限するようなことがあってはならない」と強調。「特に通信の秘密は最大限に尊重されなければならない」と定めた。
官民連携に関しては、国家による高度なサイバー攻撃への懸念が拡大しているとして、「官のみ、民間のみでサイバーセキュリティーを確保することは困難だ」と指摘。「双方向の情報共有を促進するなど官民連携を強化し、わが国全体のサイバーセキュリティー強化を図ることが必要だ」と記した。
政府が集約・分析した情報を民間事業者と共有する「官民協議会」の構成員には守秘義務を課すとした。
〔写真説明〕閣議に臨む石破茂首相(中央)ら=26日午前、首相官邸
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- サイバー防御
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
社長直轄のリスクマネジメント推進室を設置リスクオーナー制の導入で責任を明確化
阪急阪神ホールディングス(大阪府大阪市、嶋田泰夫代表取締役社長)は2024年4月1日、リスクマネジメント推進室を設置した。関西を中心に都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開する同社のグループ企業は100社以上。コーポレートガバナンス強化の流れを受け、責任を持ってステークホルダーに応えるため、グループ横断的なリスクマネジメントを目指している。
2025/11/13
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
-
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/11
-
-
-
第二次トランプ政権 未曽有の分断の実像
第二次トランプ政権がスタートして早や10カ月。「アメリカ・ファースト」を掲げ、国益最重視の政策を次々に打ち出す動きに世界中が困惑しています。折しも先月はトランプ氏が6年ぶりに来日し、高市新総理との首脳会談に注目が集まったところ。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に、第二次トランプ政権のこれまでと今後を聞きました。
2025/11/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/11/05
-
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方