警察庁は18日、2025年上半期(1~6月)のサイバー空間を巡る脅威情勢を公表した。インターネットバンキングの口座から不正送金された被害額は約42億2400万円で、前年同期比約7割増と上半期では過去最悪ペース。通年で最多だった23年(約87億3000万円)を上回る恐れもあり、同庁が注意を呼び掛けている。
 被害の大半が企業や金融機関を装ったメールで偽サイトに誘導し、IDやパスワードを盗み取る「フィッシング」から始まっており、金融機関などでつくる「フィッシング対策協議会」のまとめでは、上半期の報告件数は119万6314件に上った。前年同期比約2倍で、過去最多の24年の年間171万8036件を超えるペースという。
 同庁などによると、3~5月には証券会社をかたるフィッシングメールが急増し、5月には7万件を超えた。上半期のネット証券口座への不正アクセスは1万3121件、口座乗っ取りなどによる不正売買額は計約5780億円に上った。
 このほか、取引金融機関を装って企業に電話し、口座情報を聞き出し不正送金する「ボイスフィッシング」の被害が2~4月に急増。対策で被害は止まっているが、警察庁は新たな手口も含め、引き続き警戒が必要としている。 
〔写真説明〕警察庁=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)