【ワシントン時事】トランプ米大統領は10日、レアアース(希土類)に関する輸出規制強化を発表した中国を「敵対的になりつつある」と批判し、11月1日から100%の追加関税を課すと表明した。また、中国の習近平国家主席との対面会談を中止する可能性を示唆した。
 トランプ氏は韓国で今月31日に開幕予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、習氏と会談する方向で調整。だが、ホワイトハウスで10日、記者団に「まだ中止はしていないが、会談するかは分からない」と説明した。
 ただ、トランプ氏は米中首脳会談の有無にかかわらず、訪韓する意向を表明。関税引き上げや会談中止を辞さない構えを見せて中国に方針転換を迫る狙いがあるとみられるが、貿易戦争が再燃し、米中対立が再び先鋭化する恐れもある。
 トランプ氏は中国の輸出規制強化は「世界各国での暮らしを困難なものとするだろう」と述べ、自動車生産などに必要な重要鉱物のサプライチェーン(供給網)に悪影響を及ぼすと批判。「中国が世界を『人質』にすることは許さない」と非難した。
 その上で、現在課している関税に上乗せする形で、11月1日から100%の追加関税を課すほか、「あらゆる重要なソフトウエア」に輸出規制を導入すると表明。米ボーイング製の航空機部品の対中輸出規制も検討していると明らかにした。
 米側は第1次トランプ政権時代からの関税に加え、10%の相互関税と合成麻薬「フェンタニル」流入を理由とする20%の対中関税を課している。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)