2025/10/18
防災・危機管理ニュース
トランプ米政権が、日本にロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入を停止するよう求めたことが波紋を広げている。ベセント米財務長官はウクライナ侵攻を続けるロシアから日本がLNGの購入を続けていることに関し「いかなるロシア産エネルギー購入も代替されるべきだ」と発言。国内の産業界は「不透明感が増した」として、調達への影響を注視する構えだ。
財務省によると、2024年のLNG輸入量のうちロシアの割合は8.6%。二酸化炭素(CO2)排出量が少ないエネルギー源として、安定供給の観点から調達先の分散化を進めてきた。
一方、日本を含む先進7カ国(G7)は、22年に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア産石炭の禁輸など経済制裁を加えてきた。ただ、LNGは、ロシア産への依存度が高い欧州などを踏まえ、制裁の例外となっていた。
しかし、今回ベセント氏はロシア産のエネルギー購入全ての代替を要求した。トランプ政権はアラスカ州のLNG開発に意欲を示し、日本も投資を求められているが、総額6兆円を超すとされる巨額コストが課題だ。
代替の要求を受けた欧州連合(EU)は全面禁輸措置の前倒しを検討、日本政府も「国益を考えながら決める」(関係者)と話す。極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に投資する三井物産と三菱商事は政府と連携しながら対応を検討する方針だ。
ロシア産からアメリカ産のLNGに代替する可能性について、電気事業連合会の林欣吾会長は17日の記者会見で「アメリカのLNGは埋蔵量が豊富で非常に魅力的だ」と述べた上で、ロシアも「調達先の多様化、安定供給の面で大切な輸入先だ」との考えを示した。
〔写真説明〕2017年に撮影されたロシア北極圏の液化天然ガス(LNG)プラント(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
第二次トランプ政権 未曽有の分断の実像
第二次トランプ政権がスタートして早や10カ月。「アメリカ・ファースト」を掲げ、国益最重視の政策を次々に打ち出す動きに世界中が困惑しています。折しも先月はトランプ氏が6年ぶりに来日し、高市新総理との首脳会談に注目が集まったところ。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に、第二次トランプ政権のこれまでと今後を聞きました。
2025/11/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/11/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/04
-
-
-
-
-
-
-
月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方