2025/10/12
防災・危機管理ニュース
【ベルリン時事】欧州連合(EU)は、エンジン車の新車販売を2035年に事実上禁止する取り決めの見直しを検討する。電気自動車(EV)の普及が想定より進んでおらず、業績が悪化する自動車業界の不満の高まりから、ドイツ政府が議論を主導。EU内で合意すれば、野心的な温暖化対策からの大幅な軌道修正となる。
メルツ独首相は9日の記者会見で、EV普及を目指す方針は維持しつつも、エンジン車禁止の見直しに「全力を尽くす」と宣言した。プラグインハイブリッド車(PHV)や、「グリーンスチール」など製造時に二酸化炭素(CO2)排出を抑えた部品で造った車両などの販売を容認することを想定しているもようだ。
欧州の自動車業界は、中国EVメーカーとの激しい競争や米国の高関税政策といった逆風にさらされており、「35年の目標は非現実的で、柔軟性が必要だ」(独最大手フォルクスワーゲンのブルーメ最高経営責任者)といった見直し論が噴出していた。EUの行政機関に当たる欧州委員会の報道官は「(ドイツには)多くの興味深いアイデア」があると議論を歓迎した。
一方、EV開発の遅れや、環境推進派との妥協の産物として複雑な規制につながるとの懸念もある。ドイツはこれまでもエンジン車禁止の取り決めに際し、水素を原料に混ぜた合成燃料を使ったエンジン車を例外として認めさせたり、一定以上のエンジン車販売に罰金を科すルールを緩和させたりするなど、EUの自動車政策に強い影響力を行使してきた。
〔写真説明〕フォルクスワーゲンの電気自動車(EV)=2024年12月、ドイツ北部ハノーバー(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
-
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/11
-
-
-
第二次トランプ政権 未曽有の分断の実像
第二次トランプ政権がスタートして早や10カ月。「アメリカ・ファースト」を掲げ、国益最重視の政策を次々に打ち出す動きに世界中が困惑しています。折しも先月はトランプ氏が6年ぶりに来日し、高市新総理との首脳会談に注目が集まったところ。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に、第二次トランプ政権のこれまでと今後を聞きました。
2025/11/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/11/05
-
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方